“復活”なるか、ハイイールド債へ約2年ぶりの資金流入―9月推計資金流出入

 9月のモーニングスターの独自推計による純資金流入をみると、国内追加型株式投信(ETF除く)は3622億円の純資金流入となった。22カ月連続の流入超過となり、大分類別では「国際REIT型」が2757億円の純資金流入と、流入額は7カ月連続2000億円を超え、トップを維持した。米国の利上げ見送りにより、再び世界的な低金利が懸念されるなか、高利回り資産であるREIT人気は継続した。第2位には6カ月ぶりに流入に転じた「国際株式型」が822億円の資金流入となりランクインした。新規設定ファンドが流入をけん引するなか、オセアニア地域の高配当株ファンドなども人気となった。

<人気高まる高利回り資産、米国で人気を取り戻すハイイールド債券ファンドに注目>

 高利回り資産へ資金が流入するなか、他の高利回り資産と対照的に苦戦を強いられてきた“ハイイールド債”は16年9月において23カ月ぶりに流入へ転じた。ハイイールド債とは、格付けが投機的水準と言われる「BB」格以下の債券を指す。格付けが低い分信用リスクが高く、高い利回りが期待できる。ハイイールド債券ファンドは12年末−20014年半ばに人気となり、12年12月以降22カ月連続で資金流入、そのうち14年3−6月は各カテゴリーのなかでも最も資金を集めたカテゴリーとなった。しかし、14年7月にイエレン議長がハイイールド債に過熱感があると言及したことを背景に流入額が減少、14年10月にはついに流出に転換し、以降23カ月連続で資金流出、総額は1兆円を超えた。

 一方、米国では、ハイイールド債の利回りと米国債の利回り差が回復し、過熱感が薄れたことや、不振となったエネルギーセクターが、原油価格の回復から落ち着きを取り戻すにつれ流入も回復しており、米国モーニングスターカテゴリー「ハイイールド債」に属するファンド(注)の16年初来−8月末の流出入は111カテゴリー中第5位の“流入上位”資産となっている。

 高利回り資産に資金流入が続くなか、ハイイールド債の“復活”なるか、今後の動きに注目したい。

 注:米国籍オープンエンドファンド(ETF、ファンズオブファンズによる重複等は除く)

<投資家の支持を集めた新規設定ファンドの傾向は? >

 個別ファンドの資金流入上位を見ると、第1位の「グローバルAIファンド」や第8位「世界好利回りCB2016−09(H有)(限定追加型)」などの新規設定ファンドが資金流入のけん引役となった。「グローバルAIファンド」は新規設定ファンドとしては約1年半ぶりに設定日の純資産残高が900億円を超えた。

 また、16年9月末時点において過去1年間の新規設定ファンド558本を対象に、純資産額上位10ファンドをみると、国内外の株式を主要投資対象とするファンドが10本中8本を占めた。第1−3位の「グローバルAIファンド」「ロボット・テクノロジー関連株F−ロボテック−」「未来変革日本株ファンド」および第7位の「ダイワ 世界フィンテック関連株F(限追/償還)」は、いずれも「ロボット」や「AI」などの技術の発展による恩恵を受ける銘柄を投資対象とする。また、第5位「日興アムンディ日本政策関連株式ファンド」や第9位「産業競争力強化ファンド」には「アベノミクス政策」において恩恵を受ける銘柄を主要投資対象としたファンドがランクインした。こうした投資対象の分かりやすさから、テーマ型ファンドに人気が集まっているようだ。
提供:モーニングスター社
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