フラトン・ファンド、アジアの成長を背景にアジア債券やヘッジファンド戦略の魅力を紹介

 シンガポールに本拠を置くフラトン・ファンド・マネジメントは10月4日、東京の帝国ホテルで「魅力度が高まるアジア市場の現状と見通し」をテーマにした機関投資家向けセミナーを開催した。アジア市場に特化したセミナーの開催は、今年で3回目。今年は、マクロ、債券、ヘッジファンド戦略について担当運用者が解説した。同社の最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)のマンラジ・セクホーン氏は、「中国とその他のアジア市場の連動性は低下してきた。アジア市場は16年の年初に底打ちし、上昇に転じた。この勢いは、17年も継続するだろう」と強気の見通しを語った。

 セクホーン氏は、アジア市場の中国リスクが低下している理由について、「アジア諸国ではインフラ投資、国内消費などが活発化し、内需主導型経済への転換が進んでいる。中国向け輸出の好不調が経済成長を左右する影響度合いは低くなった」と述べた。また、「米国の利上げが、より穏やかなものになっていることも、アジア市場にはプラス要因。向こう12カ月を展望すると、マレーシア、中国、インド、韓国、台湾、インドネシアなどで内需がけん引役となって成長を続けるだろう。しばらくぶりに、アジア市場の成長に確信度が高い」と見通している。

 マルチアセット投資責任者のプラネイ・グプタ氏は、マクロの見通しについて語り、「米国の利上げは、タイミングが重要なのではなく、次回の利上げ以降は12カ月間にわたって何もしないことがはっきりしてきたことが重要」と米国の金利見通しを語った。そのうえで、米国の株価について「下落の可能性が強くなっている」と語り、「投資に魅力的な市場は先進国から新興国に移っている。特に、アジアのファンダメンタルズの改善に注目してほしい」と注意を促した。

 債券運用担当のスーヘイ・ロン氏は、アジア債券市場の見通しについて講演し、「香港とシンガポールは、米国の金融政策の変更に合わせて追随利上げを行う見通しだが、その他の国々は、いずれも向こう12カ月で金融緩和的な政策をとることが予測される。特に個人消費が活発な、インド、フィリピン、インドネシアに成長期待が強い。アジアの債券市場では、マレーシア、インドネシアをオーバーウエート。中国と韓国はアンダーウエートにしたい」と全体感を語っていた。

 また、オルタナティブ投資責任者のシリン・イスマイル氏がヘッジファンド戦略について語り、「アジアのヘッジファンド市場は緩やかに拡大し、16年7月現在で1130ファンド、運用資産1707億ドルになっているものの、新規ファンドの設定は、昨年1年間の83本と比較して7月までに27本と減少傾向にある」と現状を報告した。ヘッジファンドの中心戦略はロング・ショート戦略で、従来の英国や米国に拠点を置くヘッジファンドが減少し、香港やシンガポールに拠点を置く現地化したヘッジファンドが拡大していることも近年の特徴とした。

 最後に閉会のあいさつをした事業開発本部長のトレバー・チャドリー氏は、「引き続き日本の投資家に、アジアに投資するさまざまなアイデアをフラトン・ファンドから提供していきたい」と語った。14年には日本オフィスも開設しており、日本を重要な市場と位置づけていることを強調した。
提供:モーニングスター社
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