ヤフーグループが連携しビッグデータとAIを活用した新ファンド「Yjamプラス! 」が募集開始

 ヤフーグループ企業3社が一体となってYahoo! JAPANのビッグデータと人工知能(AI)を活用した新ファンド「Yjamプラス! (ワイジャムプラス)」を開発、28日から募集開始した。ふくおかフィナンシャルグループの福岡銀行、熊本銀行、親和銀行、ふくおか証券が募集にあたる。ファンドの設定日は12月20日。同ファンドを運用するアストマックス投信投資顧問の商品企画部シニアマネージャーの大久保和彦氏にファンドの特徴を聞いた。

 ――ビッグデータを運用に生かすということだが、具体的な運用モデルは?

 ヤフーグループが取り組んだのは、金融データだけではなく、天気や話題になっている検索キーワード、よく読まれているニュース記事など、金融データとは直接関係のないさまざまなデータ、しかも、膨大なデータについて、個別の株価との関係を見いだし、それを投資判断に生かしていくというもの。

 膨大な量のデータを解析するのに使うAIは、金融分野におけるAI活用の研究で先行する岡田克彦氏が代表を務めるMagne−Max Capital Management(MMC)が開発したAI運用モデルを活用する。このモデルは、「マーケットアノマリー」と呼ばれる市場のゆがみを探し出すことに優れている。

 MMCが開発したAIに、月間700億ページビューを誇るYahoo! JAPANが持つ、天気や気温、ニュース、株価情報、為替情報など、ありとあらゆるデータを読み込ませ、関連性を解析した。

 たとえば、猛暑にはビールなどの飲料メーカーやエアコンなど家電メーカーなど、株価には季節性があることが知られている。しかし、漠然と猛暑にはビールメーカーの株価が上がるというだけでは、いつ買えばよいのか、その判断は難しい。これを、晴れなのか雨なのか、気温は何度かなど、さまざまなデータと株価の関係を分析することで、どんな条件がそろった時に、どの企業株価が上がりやすいかがわかってくる。

 「Yjamプラス! 」が使う投資戦略モデルのひとつ、「確率的モテ期予測モデル」は、全上場銘柄の季節性をAIに網羅的に学習させ、モテ期を確率的に推定し「買いシグナル」を出し、反対に、モテ期ではない銘柄を「売りシグナル」で知らせる。

 また、「スター発掘モデル」は、日頃は目立たないものの実力があり、何かのきっかけで人気が集まる「将来のスター銘柄」を発掘する。業績の好転や株主還元策など、イベント発生までは注目度が低い銘柄の中で、アナリスト評価の好転など株価にポジティブなイベントが発生した銘柄に買いのシグナルを出す。

 ――投資戦略モデルの有効性は? また、具体的なポートフォリオのイメージは?

 戦略モデルについては、バックテストを実施し、ベンチマークを上回る運用成果が確認できた。ただ、バックテストの結果は、あくまでも過去のデータに基づく成績であり、将来の投資成果を担保するものではないため、公表する予定はない。モデルの有効性については、これからの運用成績で実証していきたい。

 また、ポートフォリオ構築では、流動性や財務の健全性などをチェックし、投資対象銘柄を一次選定し、2つのモデルから買いシグナルが出ている銘柄でポートフォリオを構築する。長期にTOPIX(東証株価指数)を上回る運用成績が期待できると考えている。

 当面は、日本株式を対象に運用するが、今後、ファンドの残高が増えて、日本株式だけでは市場を上回るポートフォリオの構築が難しいと判断されるようになれば、海外の株式も投資対象に加えていく計画だ。

 ――販売会社が、ふくおかフィナンシャルグループになった理由は?

 日本において「貯蓄から資産形成へ」という政策が実施されているものの、日銀の「資金循環統計」(16年9月28日発表)によれば、個人金融資産1746兆円のうち過半数の52.7%を現金・預金が占め、投資や資産形成が進んでいない。中・長期の視点で、安心して投資できる投資信託が必要だという問題意識がある。先端の情報技術を使って、多くの方々が安心して投資できる投資信託を提供したいというのが、「Yjamプラス! 」の開発にあたって強く意識したことだ。

 「Yjamプラス! 」は、販社とともに中・長期に資産形成をしていこうと考える方々を末永く見守りサポートしたいと考えた。ふくおかフィナンシャルグループは、「Yjamプラス! 」設立の狙いや、中・長期の資産形成層の育成という考え方に共感していただいた。今後も、ヤフーグループの思いに共感していただける販社を増やしていきたい。
提供:モーニングスター社
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