日本の個人投資家の間でESG投資の意識がじわり高まる=シュローダーが意識調査

 シュローダー・インベストメント・マネジメントは、モーニングスターと共同で「ESG(環境、社会、ガバナンス)投資に関する投資家意識調査」を実施し、日本において個人投資家の間でESG投資への関心が高まっていることを明らかにした。調査対象にしたのは、金融資産(住居不動産等を除く)1000万円以上を保有し、投資信託の保有経験がある約1000人。「ESG投資」について「知っている」(「聞いたことがある」含む)投資家は約55%に達した。

 調査期間は2016年9月27日−10月17日。インターネット、または、ダイレクトメールを通じて、全国の投資家を対象に調査し、有効回答は1072件だった。

 ESG投資は、企業業績や財務内容などの調査項目に加え、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の課題への取り組み姿勢を、企業の長期的な企業価値の向上と持続的成長の評価に反映させる手法。日本でも公的年金の運用にあたるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資に乗り出すと報道されるなど、年金基金など機関投資家の間で取り組みが進んでいる。

 今回の調査で、「ESGのいずれかの要素を考慮して投資を検討したことがある」という投資家は、全体の約20%。「今後考慮したいと考えている」は約37%になった。

 「ESGのいずれかの要素を考慮して投資を検討したことがある」と回答した投資家のうち、ほぼ半数が「E(環境)」(約51%)、または、「G(ガバナンス)」(約48%)を重視していた。「S(社会)」は約35%と、他の項目と比較すると低くなった。ただ、シュローダーでは「G(ガバナンス)に次ぎ、S(社会)の注目が今後一層高まると考えている」としている。過重労働や低賃金など大手企業の労働環境の悪化が取り上げられるなか、従業員の勤労意欲や会社への忠誠心といった観点でも、「S(社会)」が、さらに重要になっていくと考えるためだという。

 また、日本企業のガバナンス改善については、投資家の約60%が「改善していない(変わっていない)」と感じていることが明らかになった。アベノミクスの成長戦略の一環として2015年に「コーポレート・ガバナンスコード」が導入され、社外取締役の導入や株式持ち合いの解消などが進んでいるものの、それが収益向上や株主還元の充実など個人投資家が実感できる水準にまでに至っていないことが示された。

 一方、シュローダー・グループでは日本を含む世界28カ国の個人投資家約2万人を対象とした「シュローダー・グローバル投資家意識調査2016年」を実施し、その中でESG投資に関する意識も聞いている。それによると、ミレニアル世代(18−35歳)は、他の世代と比較してESG投資への関心が高く、特に「G(ガバナンス)」について強い関心を持っていることがわかった。
提供:モーニングスター社
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