<初評価★★★★>アセットマネジメントOne「インカムビルダー」「債券王」、債券運用巧者の特性発揮

 アセットマネジメントOneが設定・運用する2本の外国債券ファンドが、ともに優れた運用成績を残している。「インカムビルダー(毎月決算型)為替ヘッジなし」<2013121803>、「USストラテジック・インカム・ファンド(年1回決算型)<愛称:債券王>」<2013122005>は、12月末基準でモーニングスターレーティングの対象となり、初評価で★★★★になった。両ファンドについて、アセットマネジメントOneの投資信託営業企画部長 小林央氏に聞いた。

――「インカムビルダー」は、過去1年間のトータルリターンが19.15%と極めて好調だった。この背景は?

 米国債券毎の過去1年間のパフォーマンス(現地通貨ベース)は、米国国債が15年12月末を100とすると16年12月末は101。同様に、ハイイールド債の中でエネルギーが137、ハイイールド債券全体は117。投資適格社債は106だった。「インカムビルダー」は、株式も最大30%組み入れ可能で、足元ではハイイールド債を中心に運用し、過去1年は大幅に上昇した。

 半面、「債券王」は、安定的な運用をめざすファンドで、足元ではトランプラリーの反転リスクを勘案、「インカムビルダー」に比べ米国国債を多めにしている。前年末比の円高やトランプラリーによる米国金利上昇の影響を受け、過去1年のトータルリターンはマイナス1.81%だった。

 しかしながら、過去3年間のトータルリターンは、「インカムビルダー」が年率6.30%、「債券王」は同5.01%と、それぞれ優れている。両ファンドのリスク(標準偏差)は現地通貨ベースで、「インカムビルダー」が3年(年率)9.37%に対し、「債券王」は同2.84%。積極的にトータルリターンを狙う「インカムビルダー」と、リスクを抑えながら安定的に運用する「債券王」の特徴が表れている。

――「インカムビルダー」の実質的な運用は、ルーミス・セイレス社。「債券王」はジャナス社だ。それぞれの特徴は?

 ルーミス・セイレス社は1926年にアナリストが設立した歴史ある運用会社で、債券については独自に格付けを行っていて個別の銘柄調査に定評がある。

 「インカムビルダー」が主要投資対象とする「ストラテジック・インカム・ファンド」は、安定的にインカム収入を生み出す債券・株式等の中から、割安な銘柄に中・長期的に投資している。アナリスト情報を運用チームで共有し、ポートフォリオマネジャーもトレーダーも銘柄選択の権限を持ち、協力して柔軟で迅速な運用をしている。

 価格が下がる局面では、銘柄を吟味して安値で購入する投資行動も実施する。インカム重視のため、徐々にインカム部分は積み上がり、それが価格変動のクッションになる。たとえば、年率6%程度の利回り資産を2年間も保有すれば、10%程度の価格のブレは積み上がったインカム収益の範囲におさまる計算。多少の価格のブレは許容して、中・長期の投資を考える方に魅力的な投資対象になると思う。

 一方、ジャナス社は1969年設立の運用会社だ。「債券王」の主要な投資対象である米国債券のストラテジック・インカム戦略は安定的な運用実績があり、米国で188億ドル(約2.15兆円)の残高がある。

 両ファンドは運用目標に沿って投資環境に応じて機動的な資産配分を行う戦略だが、ジャナス社の方は、リーマン・ショックのようなリスクオフ局面で国債の組み入れ比率を増やし、その後、投資適格社債でリターンの上積みを図った。一方、ルーミス・セイレス社は、投資適格社債の組み入れ比率を高め、その後、ハイイールド債などへの投資で収益を狙っている。投資手法は異なるが、ともに市場平均を上回る運用成績を残し、両社の地力を見ることができると思う。

――今後の両ファンドの運用戦略は?

 「インカムビルダー」の方は、短期的にはトランプ大統領の発言などをきっかけに、市場がボラタイルな環境になることに留意が必要と考えている。ハイイールド債券を中心に価格が上昇した資産を売却しつつ、次の投資機会に備えた高流動性資産として短期米国国債の組み入れ比率をやや高めた。また、非米ドル債の比率を抑えてドル高に備えている。

 一方、「債券王」は、金利はもう少し上昇するのではないかという見通しに立っている。国債よりもクーポンの高い投資適格債の組み入れを増やし、デュレーション(債券投資の平均回収期間)はやや短くしている。慎重な姿勢を崩さず、金利上昇に備え、相対的に景気回復期に強い投資適格債に注目したスタンスだ。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。