フィデリティ投信、独立系運用会社としてグローバルで徹底した顧客本位を貫く

 金融庁が今年3月に示した「顧客本位の業務運営に関する原則」に対し、主な金融機関は6月末までに原則を採択している。フィデリティ投信執行役員副社長 投信ビジネス本部長の新弘行氏に同社の取り組みについて聞いた。

 ――フィデューシャリーへの取り組み姿勢は?

 「お客様の最善の利益を常に追求する」ことを第一の企業価値と考え、お客様本位の業務運営を実施しており、その取り組み状況についても定期的に公表していく。

 全ての取り組みを通じてめざすところは、お客様に運用商品のリターンをお戻ししてお役に立つことだ。

 ――スチュワードシップ活動は?

 当社にとってスチュワードシップ責任とは、資本を有効活用するために投資(候補)先を精査し有利な先を選別する目利きの役を果たすことだと理解している。投資収益の追求のみならず、対象企業の価値向上、より端的に言えば、競争力向上のために働きかけをする行動が重要だ。具体的活動には、投資(候補)先企業とのエンゲージメント(「目的を持った対話」)と、実効性ある議決権行使がある。

 エンゲージメントは成果を生んでいる。例えば、社外役員との対話は着実に増えており、企業側の姿勢にも変化が伺える。企業の戦略策定や情報開示、ガバナンスが改善するという実質的な成果も見えてきている。

 議決権行使は、アクティブ運用者として、またボトムアップアプローチの哲学に則り、全ての投資先について積極的理由で保有しているため、経営陣を支持する基本姿勢を持っている。ただし、一層の企業価値向上のためや株主との利益相反の懸念がある場合には、対話を通じ議案の再考をお願いしている。当社の議決権行使指針とこうした対話の成果を踏まえ賛否を判断している。今後、結果の個別開示は実施する方針だ。

――利益相反の適切な管理については?

 当社およびFIL(フィデリティ・インターナショナル)グループでは運用会社に潜在する利益相反の管理を徹底しており、今後もその体制を維持・継続していく。今般、当社で「顧客本位の業務運営」を公表したことから、適宜その進ちょく状況を内部で検討・評価する予定であり、そのなかで現在の利益相反の管理状況を確認しつつ、新たに認識された相反事項への対応・管理について積極的に臨む方針だ。

 ――わかりやすい情報開示は?

 「常にお客様を中心に」という考え方に徹し、お客さまの声を聞く機会を大事にしている。コールセンターを通じたお問い合わせ、販売会社からいただくお客さまの声、そのほかにフィデリティファンの会員組織「クラブ・フィデリティ」を通じてお客さまと直に接する機会を設けている。

 お客さまの声に基づき業務運営を改善するべく、「クライアント・ボイス・ミーティング」を毎月開催しており、できることはすべてやる、またこれらを実行に移すスピードも重視する、という姿勢で日々臨んでいる。

 例えば販売用資料などはなるべく専門用語を避け、いかにより分かりやすくするかが改善策の一つだ。運用報告書についてはホームページなどに用語集を設けるなどの検討案が出ている。また、当社が提供する商品・サービスが、どのようなニーズやリスク許容度のお客様に適したものなのかなどを、販売用資料などを通じて、今後はより明確にしていきたい。

 当社の公式Facebookのフォロワー数は約8.8万人と、業界No.1の実績になっている。また、運用担当者等がマーケット動向や運用状況を語る動画の視聴回数は310万PVを獲得。さらに、若年層向けに資産形成の大切さを訴求するWebコンテンツ「Think」は、動画も含めて30万PVを獲得し、内80%以上が新規ビジターだった。

 一方、当社ならではの「フィデリティ退職・投資教育研究所」は昨年ホームページをリニューアルし、主に金融機関の販売員の方々向けに「資産運用ナビ」として生まれ変わった。「資産運用ナビ」には資産運用とライフイベント、ライフステージを結びつけたさまざまな情報を発信しており、情報提供面での充実ぶりは他社の追随を許さない。

 ――KPI(客観的に評価できる成果目標)は?

 定期的に見直し、四半期ごとに公表していく計画だ。弊社では社員全員がお客さまの利益を最大限にすることを目標とするKPIをゴールとしている。たとえば、NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、フィデリティの商品・サービスを他の人に薦めてもらえるかということを重視するお客様満足度を測る指標だが、この考え方に基づく指標は、公表していくKPIに近いものだと思う。当社の方針や実践内容をしっかりと伝えていきたい。
提供:モーニングスター社
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