カブドットコム証券、ロボット投信と協働し投信「見える化」を推進! 信託報酬を実額把握できるツール開発

 カブドットコム証券は9月から、国内の金融機関で初めて投資信託の信託報酬を実額でシミュレーションできるツールの提供を開始する。信託報酬をパーセンテージではなく実額で示し、より実態に合った取引コストが分かりやすくなる。ロボット投信の協力を得て開発した。カブドットコム証券は、16年12月に個別ファンドの「信託報酬控除前トータルリターン」の情報提供を開始し、「基準価額(信託報酬控除後のトータルリターン)」と比較することによって投信のコストがパフォーマンス与える影響を可視化している。今回の信託報酬の実額表示によって、一段と投信コストの「見える化」が進展する。

 金融庁が今年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を示した際の説明資料に、投資信託を100万円購入して1年間保有した場合に負担する信託報酬の額についてアンケート調査した結果、実際には平均して1万4千円程度であるのに対し、投資家からの回答は「5千円以下」が6割弱、「1千円以下」との回答も4割弱を占めたという実態を示し、「手数料等の明確化」を求めている。カブドットコム証券が提供開始する「信託報酬の実額シミュレーションツール」は、金融庁も指摘する投信の保有コストに対する理解を、より実態に近づけるための一助になる。

 シミュレーションツールで示す信託報酬額は、投資信託の価格変動と信託報酬率から簡略的に算出する。一定条件のもとに仮想ファンドを生成し、この仮想ファンドに対して投資金額、保有期間、および、信託報酬率を入力することで、損益と信託報酬額を算出する。仮想ファンドの日々の基準価額(1口あたりの純資産総額)や信託報酬額などは、ロボット投信が算出する。同ツールでは、簡略的な計算方法を採用しているが、仮想ファンドの基準価額などを日次で計算しており、数年間にわたって保有しているファンドについても、累計で支払った信託報酬の実額と、信託報酬控除後の損益がわかる。

 また、カブドットコム証券はロボット投信と協働して、複利効果に与える分配金の影響を可視化する「分配金シミュレーションツール」の開発も進めている。分配金を受け取る場合と、再投資することによって複利の効果を得る場合の違いと、運用パフォーマンスの関係を、一目で確認できるようにする。

 カブドットコム証券は、技術主導によるリスク管理の追求と顧客満足度の向上に注力しており、MUFGグループ主催の「MUFG Digitalアクセラレータ」選出企業をはじめとするスタートアップ企業との協業も積極的に進めている。ロボット投信は、今年度MUFG Digitalアクセラレータに選出されており、本協業もその流れの一つと言える。

 ロボット投信との協業について、カブドットコム証券イノベーション推進部の松永亜弓氏は、「株式取引のデジタルシフトと比較すると、投信のネット販売シェアは約2%程度と依然として低い。そのために、取引の過程に合理的でない部分があり、かつ、個人投資家の方々に分かりづらい。また、投信は独特の専門用語等が多い。ロボット投信は、そのような投信販売に関係する非効率な部分を自動化などによって効率化したいという同じ問題意識を持っている。かつ、エンドユーザーに分かりやすく伝えるロボット投信のUI(ユーザインターフェイス)、UX(ユーザエクスペリエンス)が優れている」と連携する理由を語った。

 ロボット投信は16年5月創業で、「金融の『読む、書く、話す』を自動化する」をミッションに、アセットマネジメント分野で「RPA(Robotic Process Automation)」(電話自動応答システム等)やロボアドバイザー、金融・経済データの提供などを行っている。同社代表取締役社長の野口哲氏は、「投信の目論見書をスマートフォンで読もうとするとスマホに最適化されていないケースが未だに多く、投信の特徴や手数料など、購入を検討するにあたって必要な情報になかなかたどり着けない。もっとシンプルに、スマホを使ってでも簡単に必要な情報にたどり着けるようにしてあげるのが『ロボットUI』。スマホ世代である若い世代にも、投信の情報をわかりやすく伝えたい」と語っている。同社は本年7月1日に三井住友アセットマネジメントで社長、会長を歴任した前田良治氏を顧問として招聘しており、経営体制を強化。両社は、引き続き投信分野の分かりやすい情報提供について協働していくとしている。
提供:モーニングスター社
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