「ダイワ・ロシア株ファンド」―09年のリターンは160%超、機動的な銘柄入れ替えが高リターンに(2)

 大和投資信託が08年2月から運用を行っている「ダイワ・ロシア株ファンド」<2008022601>。08年末にかけては世界的な金融市場の調整、原油価格の下落、グルジア問題の大きな影響を受けて下落したものの、09年にはその反動もあり大きくロシアの株価は上昇した。09年にロシア・東欧株式を中心に投資するファンド(全15本、2009年12月末時点で運用開始から1年超が経過したファンド)は平均で113%と大きく上昇したが、中でも「ダイワ・ロシア株ファンド」の09年末時点での年間トータルリターンは160.24%と大きく上昇し、全体(2831ファンド)でも3番目の年間上昇率となった。

 同ファンドの09年12月末時点の業種別構成比率(対株式ポートフォリオ)ではエネルギー36.0%、素材25.4%、金融17.1%、電気通信サービス10.1%が上位の構成比率となっている。個別銘柄ではズベルバンク11.10%、ガスプロム8.85%、ルクオイル7.55%が上位となっている。足元の業種配分では、金融を強気にみており、携帯電話会社などの通信にも強気なほか、中小型の銘柄の組み入れも積極化しているという。
 一方で、09年初めの1月、2月には、08年末に続きロシア株式市場も低迷し、特に金融株は不良債権比率の上昇が見込まれたことで大きく売り込まれたが、この際には金融株の保有を一時ゼロ付近とするなど保有銘柄を大胆に引き下げたことで市場全体に対してはプラスのパフォーマンスを記録した。
 また、ボトムアップでの個別企業の調査の積み重ねをベースとしながらも、石油関連の企業を中国向け輸出拡大がプラスになるとの見方から強気に見ていた一方で、欧州向けの天然ガス需要の落ち込みからガス関連の企業を弱気とするなど、、「マクロ経済動向や国の政策から恩恵を受ける業種・銘柄はどちらか」(同)といったトップダウン的な見方も重視し、機動的な銘柄の入れ替え、組み入れを行っていることも特徴と言える。
 このほか、素材セクターでも、「中国の鉄鋼・石炭関連の需要拡大の恩恵を受ける銘柄を選別して組み入れた」(同)とするように、金鉱関連の銘柄を減らし、鉄鋼・石炭関連の銘柄を増やすなど、同セクター間でも銘柄によって投資テーマに沿った強弱感を付けることでパフォーマンスの向上につなげている。
 また、ロシア・東欧株式に投資するファンドは流動性などの問題を勘案してDRを通じて株式に投資するケースが多いが、同ファンドではロシア現地株式市場のRTS株式を26.5%組み入れており、比較的RTS指数の銘柄を多く組み入れている。「金融の普通株・優先株や電力株などを組み入れており、パフォーマンスに寄与している」(同)という。

 10年のロシア経済、株式市場の見通しでは、金融政策については新興国の中でも金融政策の引き締めに転じる国々が出てくる可能性があるなか、10年前半はロシアでは利下げが継続するとの見方だ。景気刺激策が継続され、株式市場のバリュエーション面では他の新興国株式市場と比較しても割安感があることから、底堅い推移となると予想している。また、ロシアのメドベージェフ大統領は09年12月に10年の経済成長率について2.5%から5.0%程度になるとの見解を示しているが、概して政府の見通しは保守的に示す傾向があり、一部では足元の原油価格の水準を考慮して政府予想の上限である5%程度の成長を予想するところも出てきているという。過去には懸念材料の一つであったCPI(消費者物価指数)についても足元はでは低下傾向を示しており、「CPIは09年12月の8%台後半から今年末には5%から6%付近まで低下する可能性がある」(同)とみている。
提供:モーニングスター社
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