21年上半期リターン・国内株式型−上位5ファンド中3ファンドが「大型バリュー」

 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF、通貨選択型除く)のうち21年6月末時点の純資産残高が50億円以上の国内株式型ファンドを対象に、21年上半期(1−6月)のリターン上位5ファンドを見たところ、3ファンドをカテゴリー「国内大型バリュー」に属するファンドが占めた。ワクチン接種などコロナ対策進展による景気回復期待を背景に、第1四半期(1−3月)を中心に、景気敏感株などバリュー株を見直す動きが世界的に広がったことが寄与した。

 「国内大型バリュー」に属する3ファンドは、三菱UFJ国際投信の「システム・オープン」、三井住友DSアセットマネジメントの「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」、SOMPOアセットマネジメント「損保ジャパン・グリーン・オープン」(愛称:ぶなの森)で、上半期のリターンは順に22.37%、22.12%、19.00%となった。上半期のTOPIX(配当込み)の上昇率は8.90%であった。

 「システム・オープン」は一部上場企業の中から、成長性、収益性、安定性などを基準とし、業種分散を配慮して選定した企業の株式に投資する。業種別比率を見ると、21年6月末時点で銀行業が21.3%でトップとなり、輸送用機器が13.6%で続いている。21年上半期は、バリュー株を見直す動きを背景に銀行業、輸送用機器ともに大幅に反発しており、同ファンドの良好なリターンに繋がった。

 「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」はその名の通り、トヨタ自動車およびそのグループ会社の株式に投資する。トヨタ自動車がポートフォリオの約半分(21年6月末時点の組入比率は50.0%)を占めており、同社の株価動向の影響が大きい。同社の株価は、世界的な景気回復による業績拡大期待から上昇して6月には上場来初の1万円に乗せており、追い風となった。

 「損保ジャパン・グリーン・オープン」は、環境問題に積極的に取り組み、割安感があると評価した企業の株式に投資する。国内株式が下落した4月にカテゴリーの中でも下落幅を相対的に抑制した。

 21年上半期リターントップは、「国内大型ブレンド」に属する三井住友DSアセットマネジメントの「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」で、リターンは24.10%となった。同ファンドは、国内株式への投資に加え、「高金利通貨戦略」「株式カバードコール戦略」「通貨カバードコール戦略」を組み合わせることで、インカムゲインとオプションプレミアムの確保を図る。4月の国内株式市場の下落局面でプラスのリターンを獲得したほか、5−6月も良好なパフォーマンスとなった。21年6月末時点でトヨタ自動車が組入比率5.1%でトップ、デンソーが3.4%で3位となっており、プラスに寄与したと見られる。

 第4位には、「国内中型ブレンド」に属すりそなアセットマネジメントの「りそな 日本中小型株式ファンド」(愛称:ニホンノミライ)がリターン19.49%で入った。同ファンドは、社会的な課題の解決に取り組み持続的・安定的な成長が見込まれる中小型企業の株式に投資する。「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」と同じく、国内株式が下落した4月にプラスにリターンを確保した。
提供:モーニングスター社
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