予想分配金提示型の残高は5年で15倍、『ジャパン・オーナーズ』、『未来の世界』も設定へ

 予想分配金提示型ファンドの本数、残高が増加している。2021年9月末時点で、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETFに該当はなし)のうちファンド名に「予想分配」を含むファンドは59本あり、純資産残高の合計は2兆6078億円となった。5年前(2016年9月)と比べると、本数で約3倍、純資産残高で約15倍に拡大した。

 予想分配金提示型ファンドとは、分配金の額を基準価額の水準に応じて予め提示しているタイプのファンド。例えば、決算日前営業日の基準価額が1万1000円未満の場合は分配なし、1万1000円以上1万2000円未満では200円(1万口あたり、以下同)、1万2000円以上1万3000円未満では300円などとなる。決算回数は毎月決算が多く、2021年9月末時点の59本のうち45本が毎月決算型である。

 毎月決算型ファンドは、毎月の分配が長期の資産形成に向かないという見方や、運用収益を超えた分配を行うファンドに対する懸念もあって、ここ数年、資金流出傾向が続いている。毎月決算型全ファンドを合計した純資金流出入は2017年から2020年まで4年連続で流出超過となり、2021年も、6月以降は流入超過となっているものの、9月末時点で1400億円超の純資金流出となっている。資金流出を受けて純資産残高は減少し、毎月決算型全ファンドの純資産残高の合計は2021年9月末時点で20兆6008億円と、5年前と比べて約4割(37.6%)減少した。

 一方、毎月決算型でも予想分配金提示型についてみると、2021年9月まで51カ月連続で純資金流入となっており、純資産残高の合計も2兆5794億円と5年前比で18倍超となっている。予想分配金提示型は基準価額が一定水準以下の場合には分配が見送られるため、元本からの払い出しは避けられる。資金需要から毎月分配金を受け取りつつも、比較的長期にわたって資産を運用したいという投資家の資金が向かっていると見られる。

 予想分配金提示型をけん引しているのは、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」シリーズの「Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」と「Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」だ。両ファンドの2021年9月末時点の純資産残高の合計は1兆8144億円で、59ファンド合計の2兆6078億円の約7割を占める。ただ、両ファンドを除いたベースでみても、2021年9月末時点の純資産残高は7933億円と5年前に比べて約16倍となっており、規模は小さいながらも、増加傾向にある。

 2021年10月も、すでに13日に「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が設定されおり、20日には「東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン」が、25日には「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」(愛称:未来の世界)が予想分配金提提示型の設定を予定している。
提供:モーニングスター社
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