カテゴリー平均に対する勝率の高い国内株式アクティブファンド、最高は過去10年中9年で超過

 今年に入ってから国内株式が軟調だ。19日の日経平均株価は前日比790円安の2万4767円と急落し、昨年末からの下落率は4.6%となった。新型コロナウイルスのオミクロン株急拡大に対する警戒感があるほか、金融政策の正常化観測の強まりや原油価格の上昇も嫌気されており、当面、神経質な展開が続く可能性がある。

 国内株式アクティブファンドの中でカテゴリー平均に対する勝率の高いファンドを探った。具体的には、モーニングスターカテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く、2022年1月18日時点の純資産残高50億円以上)を対象に、2012年〜2021年までの過去10年間において、暦年のリターンがカテゴリー平均を上回った回数を調べた。当該期間には、2015年のチャイナショック、2018年の米中貿易摩擦、2020年のコロナショックなど株式市場が大幅下落に見舞われた時期も含まれる。それらの時期を含めた1年間のリターンをカテゴリー平均と比較し、相対的な優位性を確認した。

 暦年のリターンが10年間全てでカテゴリー平均を上回ったファンドは存在しなかった。最高はアセットマネジメントOneの「One 国内株オープン」(愛称:自由演技)の9回であった。

 同ファンドは、景気指標や通貨動向などマクロ投資環境の変化に応じて投資スタイルを適宜変更し、成長系(グロース系)、割安系(バリュー系)、大型、中小型といった視点のうち、その局面で最適と判断した投資スタイルに比重を置いた銘柄選択を行う。2021年までの10年間のうち、米中貿易摩擦に揺れた2018年こそカテゴリー平均を1.4%下回ったものの、円高による下落と米大統領選後の上昇(いわゆるトランプラリー)という乱高下に見舞われた2016年など他の9年間はカテゴリー平均を超過した。また、調査期間外ではあるが、リーマンショックの2008年、東日本大震災の2011年という大幅下落した2年間においてもカテゴリー平均を超過しており、自由な投資スタイルの選択が奏功したと思われる。

 コモンズ投信の「コモンズ 30ファンド」が7回で続いた。同ファンドは、外部環境の変化に強い30程度の厳選した企業に30年目線の長期投資を行う。銘柄選定は、「収益力」という「見える価値」と、「競争力」「経営力」「対話力」「企業文化」という「見えない価値(=非財務情報)」の計5つの軸に基づき、長期的に企業価値の創造を継続できると判断した企業に投資する。自民党の政権返り咲きによる財政・金融政策期待が広がった2012年、「アベノミクス」に沸いた2013年、米中貿易協議の進展を好感した2019年といった国内株価が大幅に上昇した3年間はカテゴリー平均に劣後したものの、国内株価が大幅に下落した2018年を含め2014年以降は8年間のうち7年間でカテゴリー平均を上回っている。
提供:モーニングスター社
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