レオス・キャピタルワークスの新運用体制、ファイナンシャル・インクルージョンの実現可能な商品開発に注力

 レオス・キャピタルワークスは4月11日、「投資信託『ひふみ』シリーズ運用体制強化について」プレス説明会を開催した。同説明会には、同社の会長兼社長最高投資責任者の藤野英人氏の他、新たに「ひふみ投信マザーファンド」の運用責任者に就いた佐々木靖人氏とシニア・ファンドマネージャーの韋珊珊(Wei Shanshan)氏の他、副社長の湯浅光裕氏、債券戦略部長の福室光生氏、経済調査室長の三宅一弘氏が揃って出席した。藤野氏は、「新しい運用体制は、『ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)』を実現するために作った。今後さらに、インデックス運用やクオンツ運用、オルタナティブ、外部委託運用、ロボアドなどの運用チームの組成も検討し、多くの個人の方々が資産運用に活用していただける商品の提供を積極的に行っていきたい」と語った。

 「『年金2000万円問題』が社会的な関心になる前は、日本株・世界株・未公開株といった株式運用のスペシャリストとして残高1兆円〜3兆円を運用する運用会社をめざしていた」という藤野氏は、「テレビに専門家と称する人が出演して『年金の運用に株式を使うのはいかがなものか』と堂々と語っているのをみて、日本のマスコミをはじめ世間一般の金融リテラシーの低さを痛感した」という。「このままでは、投資をしている人としていない人の間で格差が一段と広がり、日本経済の先行きも危ういと感じた。自分たちに何ができるのか副社長の湯浅らと真剣に議論したうえで、体制を劇的に変化させる必要があると考えた。そして、ブティックから総合資産運用会社への転身を決めた」という。「ファイナンシャル・インクルージョンによって運用残高100兆円の総合運用会社をめざす」とした。

 債券戦略部を立ち上げ、株式と債券に投資するバランスファンド「まるごとひふみ」シリーズ(株式への投資比率が15%、50%、100%の3本)と株式の投資比率が10%の「ひふみらいと」の運用を2021年3月に開始した。これらの商品は、個人金融資産約2000兆円の中で1000兆円超を占める現金・預金の代替手段を意識した商品だとする。「資産運用の参加者を増やすこと。資産運用にインクルージョン(包含)する人を増やすこと、投信運用者の普及を図ることが、これから30年先の格差社会の是正のために必要だ」と考え、2021年2月には投資の魅力を伝える無料のYoutubeチャネル「お金のまなびば」も開設した。同チャネルは既に登録者数が17万人に達し、「ひふみ」直販口座開設者10万人を超える広がりがある。

 新体制によって、藤野氏は「ひふみ投信マザーファンド」の日々の運用業務を離れ、グローバル株式ファンドの「ひふみワールド」やバランスファンド「まるごとひふみ」など、同社の運用商品全般の統括に軸足を移し、運用戦略の承認や新商品開発など同社の発展の方向性を決める社長業に注力することが可能になる。

「ひふみ投信マザーファンド」の運用責任者については、外部候補も検討したというが、「残高が約7000億円に達し、他社に同様の規模のファンドが存在しない。このファンドの残高4億円程度の頃に運用に携わり、いったんはレオスを離れ、ファンド残高が2000億円程度の段階で再入社して現在までの運用をともにしてきた佐々木が経験の上でも適任であると判断した。また、サポートする韋は、日本語、中国語、英語が自在であり、海外株式の運用において有力な戦力になる」と2人の新担当を紹介した。佐々木氏は、藤野氏とは運用のスタイルが違うことは意識しつつも「ファイナンシャル・インクルージョンによって『ひふみ』を国民的ファンドにしたい」という同じ思いを引き継いで運用に当たると語った。

 今後の商品展開については、「現在、1年くらいかけて準備してきている投資アイデアとして、ESG(環境・社会・企業統治)/SDGs(持続可能な開発目標)関連ファンド、そして、気候変動/エネルギー関連のファンドがある。ちょうど、『ひふみ投信/ひふみプラス』が積立投資によって着実に会社の基盤を固める上に、『ひふみワールド』が収益を上積みする稼ぎ頭になり、バランスファンド『まるごとひふみ』が芽吹いてきた。ミルフィーユのように、新商品を重ね合わせながら育てていきたい。昨年4月に立ち上げたベンチャーキャピタルファンドも、その一環であり、構想を温めてきたESGファンドなど以外にも、インデックスファンドやREITなどへの展開もあり得る」(藤野氏)と様々な商品ラインを検討していることを明かした。
提供:モーニングスター社
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