4分の3のファンドが残高を減らす中、“インカムファンド”の残高が増加−2022年4月

 2022年4月の国内ファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)の純資産残高の増減を確認したところ、4分の3以上のファンドで残高が前月末から減少した。世界の株式市場の低調な推移が響いた格好だが、その中にあって、インカムファンドの堅調ぶりが目立った。

 同月の日米株式は、NYダウが前月比−4.91%、日経平均株価が同−3.50%となるなど揃って反落した。米金利上昇や、中国での新型コロナウイルスの拡大による世界経済の減速懸念が嫌気されたが、中でも、月末に年初来安値を更新したナスダック総合指数が同−13.26%となるなど、米国成長株が大幅下落に見舞われた。

 米国を始めとした世界的な株価下落を受けて、国内ファンドのうち同月に純資産残高が減少したファンドの比率は75.8%に達した。同月末時点の純資産残高上位10ファンドで見ても、7ファンドがマイナスのリターンとなり、残高を減らした。

 純資産残高トップの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(前月末比963億円減)や「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」(同716億円減)など米国成長株ファンドのほか、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(同50億円減)、「楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))」(同53億円減)など米国株インデックスファンドも残高を減らした。「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界(ESG))」の減少額(同1407億円減)は国内ファンドの中で最大となった。

 一方、純資産残高上位10ファンドの中で前月末に比べて純資産残高が増加した3ファンドを見ると、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(同320億円増)、「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」(同227億円増)、「ダイワ・US−REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」(同133億円増)であり、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は増加額が国内全ファンド中でトップとなった。

 3ファンドは、いずれもインカムゲインを確保しつつ、キャピタルゲインの獲得を図るファンドである。米国REIT2ファンドは、相対的な利回りの高い米REITへ投資し、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は主に世界の高配当利回りの公益企業(電力・ガス・水道・電話・通信・運輸・廃棄物処理・石油供給など)の株式に投資する。3ファンドの同月のリターンはいずれもプラスとなった。インカム収入が支えになったと見られる。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、今月3−4日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で、22年ぶりの上げ幅となる0.5%の利上げと、保有資産を圧縮する「量的金融引き締め」を決定した。6、7月の会合でも5月と同じ幅の利上げが実施されるとの見方も広がっている。米金融緩和の正常化の進展は、この数年来の世界株高をけん引してきた米国成長株にとって一段の重しとなる可能性がある。金利上昇はREITファンドにとってもコスト負担の増加に繋がるなどネガティブな側面もあるが、成長株ファンドへ逆風が吹く場面では、REITファンドも含めて、高配当利回りファンドなど、安定したインカム収入の確保を図るファンドの底堅さが意識されそうだ。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。