NYダウが1276ドル安、過去急落時に見る“戻りに要した日数”は?

 米国株式が13日、再び急落した。NYダウは前日比1276ドル安と5日ぶりの大幅安。下げ幅は今年最大、歴代でも第7位となる大きさで、前日までの4日続伸による上げ幅1236ドルを帳消しにした。8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げの加速と景気減速懸念が再び強まった。先行き不安が広がる中、今後、どのようにして臨めばよいのか。過去の大幅下落時における”その後”を探った。

 NYダウの日次下落幅の歴代トップ10(13日は除く)について、下落前の水準を回復するのに要した日数(営業日ベース)を調べた。前営業日比2997ドル安と下落幅が過去最大となった2020年3月16日を例に取ると、下落前の同3月13日終値を回復したのは同年4月8日であり、要した営業日は17日であった。

 下落幅トップ10の回復までに要した日数は、最短で4日、最長で70日、平均すると27.9日となった。早ければ1週間以内、遅くとも3カ月余りで急落前の水準を回復している。

 なお、下落幅トップ10のうちコロナショック時が7回を数える。当時は金融緩和によって景気下支えが図られており、インフレ対応のため金融引締めを進める足元とは環境が異なるが、NYダウが断続的な大幅下落に見舞われたのは確かである。コロナショック時には、歴代トップ10に並ぶ大幅下落が繰り返され、ショック前の高値である2020年2月12日終値2万9551ドルから安値である同年3月23日終値1万8591ドルまでの下落率は37.09%となった。その後、同年11月16日にショック前の高値を回復した。約4割の大幅下落となったが、8カ月弱で回復した。

 今年5月5日の1063ドル安においては、下落前の水準を回復したのは8月16日で、回復までの日数はトップ10内で最長の70日となった。金融引締めを受けてダウが今年に入ってから下落基調にあることから日数が長期化したとも見られるが、逆に言えば、下落基調にあっても3カ月余りで下落幅を回復したと見ることも出来る。

 参考までに、機関投資家の多くが運用の指標としているS&P500についても同じ調査を行った。下落幅トップ10(13日除く)の内訳は、コロナショック時、2022年が5日(回)ずつとなった。10日(回)のうち今年8月26日の下落(前日比141ポイント安)分はまだ取り返せていないが、他の9日(回)はいずれも回復しており、回復までに要した日数は、最短3日、最長70日と、NYダウとほぼ同様の結果が得られた。

 NYダウ、S&P500ともに大幅下落に見舞われても、比較的早期に下落前の水準を回復している。米国株式ファンド、特にインデックスファンドにおいては、日々の急落に見舞われても、市場の回復力を見込んで動じることなく臨みたい。
提供:モーニングスター社
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