米モーニングスター09年度最優秀債券ファンドマネジャーが語る投資戦略、「カナダドルの見通し良好」
このほど来日した米資産運用会社ルーミス・セイレスのダニエル・ファス副会長はモーニングスターのインタビューに応じ、同氏が中心メンバーとして運用に携わる債券ファンド「ルーミス・セイレス・ボンド」の投資戦略や米景気見通しなどについて語った。ルーミス・セイレス・ボンドは投資妙味のある社債を積極的に組み込み、09年のトータルリターンは36.8%と高いパフォーマンスを達成。同ファンドの運用チームは、米モーニングスターが優秀なファンドマネジャーや運用チームを表彰する09年度の「ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤー」を債券部門で受賞した。インタビューの概要は次の通り。
――現在の債券市場をとりまく投資環境をどのようにみているか。
「09年と10年では状況が大きく変わった。08年末には米国債やカナダ国債を多く持っていたが、(景気回復と信用市場の回復を見越して)割安感の強かった社債などの債券に乗り換えた。また、保有している債券の平均年限も短くした。09年は利回りの面から米国の社債が極めて魅力的だったが、現在はより正常な状態に戻ってきている。ただ、米国債と比べた場合、社債にはまだ幾分魅力があるとみている。社債は依然として利回りが国債を十分に上回って推移しているほか、信用力改善のトレンドが明瞭(めいりょう)に出ているためだ」
――投資する社債はどのように選ぶのか。ポートフォリオにはフォードの社債が組み入れられているが、米国の自動車産業がいまだに厳しい状況にあるとみられるなかで、同社の社債に投資したのはなぜか。
「社債の投資対象を決定する際には2つの基準がある。1つ目は信用力が改善しているのか、悪化しているのかを見極めることだ。2つ目はイールドに妙味があるか、言い替えれば債券の価格が割安かということだ。フォードの社債については信用力が劇的に向上している点とイールドに着目して投資した」
――モーゲージ債の市場が回復しているが、今後、運用するファンドで増やす方針はあるか。
「モーゲージ債は増やさないつもりだ。金利が上昇する局面では他の債券よりも大きく値下がりする傾向があるためだ」
――カナダドル建て資産の割合がポートフォリオ全体(09年末時点)で高めになっているが、カナダドルに注目する理由は何か。
「カナダドルの見通しが良好であると判断したからだ。カナダは米国だけでなく、他の多くの国よりも経済や財政状況が良い。景気がさらに上向き、金利が上昇することが見込まれる。カナダ中央銀行はFRB(米連邦準備制度理事会)よりもかなり早い段階で利上げに踏み切るだろう。このため、組み入れているカナダ国債の年限は1年半から2年程度と短めにしている。また、カナダドルは資源国通貨としても有望だ。他の非ドル建て資産としては豪ドルやニュージーランドドル建ての債券にも投資している」
――米国の金融政策についてはどのような見通しを持っているか。
「FRBが利上げに踏み切るのは11年半ばとみている。米経済は在庫投資の影響で09年半ばから回復を始めたが、在庫投資による成長が続くのは10年第1四半期(1−3月)までとみている。その後は企業が在庫を増やさなくなることで成長が鈍化する。第3四半期(7−9月)以降もプラス成長を維持するが、力強い成長ではなく、3%程度の成長が続くイメージだ。3%の経済成長の内訳は人口増による分が1.5%、生産性の伸びによる分が1.5%となる」
「雇用の回復は非常にゆっくりとしたものになるだろう。失業率は低下するものの、高水準で推移するとみられる。失業率は10年末に9.5%、11年末に8%超になると予想している」
「ただ、通貨についてはドルが全面安になる展開は想定していない。ドルは(カナダドルなど)特定の通貨に対して弱くなるが、ユーロや円に対してドルが安くなることはないだろう」
提供:モーニングスター社
――現在の債券市場をとりまく投資環境をどのようにみているか。
「09年と10年では状況が大きく変わった。08年末には米国債やカナダ国債を多く持っていたが、(景気回復と信用市場の回復を見越して)割安感の強かった社債などの債券に乗り換えた。また、保有している債券の平均年限も短くした。09年は利回りの面から米国の社債が極めて魅力的だったが、現在はより正常な状態に戻ってきている。ただ、米国債と比べた場合、社債にはまだ幾分魅力があるとみている。社債は依然として利回りが国債を十分に上回って推移しているほか、信用力改善のトレンドが明瞭(めいりょう)に出ているためだ」
――投資する社債はどのように選ぶのか。ポートフォリオにはフォードの社債が組み入れられているが、米国の自動車産業がいまだに厳しい状況にあるとみられるなかで、同社の社債に投資したのはなぜか。
「社債の投資対象を決定する際には2つの基準がある。1つ目は信用力が改善しているのか、悪化しているのかを見極めることだ。2つ目はイールドに妙味があるか、言い替えれば債券の価格が割安かということだ。フォードの社債については信用力が劇的に向上している点とイールドに着目して投資した」
――モーゲージ債の市場が回復しているが、今後、運用するファンドで増やす方針はあるか。
「モーゲージ債は増やさないつもりだ。金利が上昇する局面では他の債券よりも大きく値下がりする傾向があるためだ」
――カナダドル建て資産の割合がポートフォリオ全体(09年末時点)で高めになっているが、カナダドルに注目する理由は何か。
「カナダドルの見通しが良好であると判断したからだ。カナダは米国だけでなく、他の多くの国よりも経済や財政状況が良い。景気がさらに上向き、金利が上昇することが見込まれる。カナダ中央銀行はFRB(米連邦準備制度理事会)よりもかなり早い段階で利上げに踏み切るだろう。このため、組み入れているカナダ国債の年限は1年半から2年程度と短めにしている。また、カナダドルは資源国通貨としても有望だ。他の非ドル建て資産としては豪ドルやニュージーランドドル建ての債券にも投資している」
――米国の金融政策についてはどのような見通しを持っているか。
「FRBが利上げに踏み切るのは11年半ばとみている。米経済は在庫投資の影響で09年半ばから回復を始めたが、在庫投資による成長が続くのは10年第1四半期(1−3月)までとみている。その後は企業が在庫を増やさなくなることで成長が鈍化する。第3四半期(7−9月)以降もプラス成長を維持するが、力強い成長ではなく、3%程度の成長が続くイメージだ。3%の経済成長の内訳は人口増による分が1.5%、生産性の伸びによる分が1.5%となる」
「雇用の回復は非常にゆっくりとしたものになるだろう。失業率は低下するものの、高水準で推移するとみられる。失業率は10年末に9.5%、11年末に8%超になると予想している」
「ただ、通貨についてはドルが全面安になる展開は想定していない。ドルは(カナダドルなど)特定の通貨に対して弱くなるが、ユーロや円に対してドルが安くなることはないだろう」
提供:モーニングスター社