医療関連で世界の幅広い株式に投資――「日興ロックフェラー医療戦略ファンド」が7月30日に設定

 日興アセットマネジメントは7月30日、「日興ロックフェラー医療戦略ファンド」(追加型/内外/株式)の設定・運用を開始する。同ファンドは世界の医療関連企業の株式などに幅広く投資するが、医薬品メーカーに限定せず、医療用機器やバイオテクノロジーといった幅広い分野の企業を投資対象とする。また、米運用会社のロックフェラー・アンド・カンパニー・インクの運用部門が実質的な運用を担当する。大型薬品の特許切れが相次ぐ「2010年問題」や新型ウイルスの流行によるパンデミック(感染症の世界的流行)への警戒感が根強いなか、世界の医療を取り巻く環境の変化に注目するファンドとなる。年1回(7月31日)決算。販売会社は日興コーディアル証券。

 「日興ロックフェラー医療戦略ファンド」は、マザーファンド(グローバル医療戦略マザーファンド)を通じ、実質的に世界の医療関連企業の株式(DRなども含む)を主要投資対象とする。投資顧問会社のロックフェラー・アンド・カンパニー・インクは、米国の名家・ロックフェラー家の資産運用を目的として100年以上前に誕生したファミリーオフィスの後継会社となる。特にロックフェラー家とその関連機関は、医療サービス提供のための活動を行うロックフェラー財団や、生物医学研究で知られるロックフェラー大学といった研究機関・施設などとのかかわりが深い。「企業調査において良好なアクセスが期待できる」(商品企画部)という点が魅力の一つであるという。

 さらに、ロックフェラー・アンド・カンパニー・インクはロックフェラー一族の資産運用を目的として誕生したという背景から、長期投資を重視するスタンスを取っている点も注目できるという。また、実際の運用を担当するチームにおいても、専門性が必要とされる投資対象分野なだけに、医学博士の資格を所有するアナリストが加わっている。

 投資対象ユニバースでは、医薬品やヘルスケアといった分野は当然ながら、バイオテクノロジー、病院などの医療施設を含む医療サービスといった医療関連の幅広い銘柄を選択。医療市場の動向や新薬の臨床試験の進ちょく状況、ジェネリック(後発)医薬品の開発状況といったトップダウンアプローチに加えて、個別企業の研究開発状況や株価のバリエーションなどのボトムアップアプローチを加味してポートフォリオを構築する。

 10年5月末時点でのモデルポートフォリオ(実際の組み入れ内容とは異なる可能性がある)では、医薬品36.5%、医療用機器23.3%が大半を占めるが、バイオテクノロジー11.8%、医療サービス8.8%と幅広いセクターを組み入れている。投資対象の国別比率では、米国57.5%と先進国が組み入れの中心となるが、中国2.5%、インド1.5%も組み入れている。医薬品や医療用機器は販売対象地域が広範囲にわたることを反映し、グローバルでの収益機会を狙う仕組みともなっている。ポートフォリオは80銘柄程度で構成される予定。

 日興AMが医療関連企業に注目する背景として、「医療を取り巻く環境で『パラダイム・シフト』が起こる可能性がある」(同)との見方がある。まず、先進国では高齢化の進展とともに医療支出が増加傾向にあるため医療需要の拡大が見込まれるが、特に米国では10年3月に医療保険改革法が成立しており、今後10年間で約70兆円規模の需要増が見込まれるという。また、新興国では経済成長に伴って生活水準が向上するため、医療支出の拡大が見込まれるという。

 これらの環境の変化に加えて、医薬品業界では2010年の前後数年間で大型薬品の特許切れが相次ぐにもかかわらず、新薬の開発が進んでいないという「2010年問題」に直面。ジェネリック医薬品メーカーと新薬メーカーなどによる積極的なM&A(企業の合併や買収)の増加が見込まれている。さらに新型インフルエンザに代表されるパンデミックの可能性が高まっており、医療関連企業の新たな収益源ともなってきている。また、バイオテクノロジーやライフサイエンスといった最先端分野でも収益が期待できる状況に入っている。

 日本の投資家にとっては、「ディフェンシブ」銘柄としてのイメージが強い医療関連株式だが、世界的にみると1994年以降は新薬開発ラッシュやバイオ医薬品の発達を受け、世界株式(MSCI ACワールド指数)を上回るパフォーマンスを上げてきている。今後も「2010年問題」に代表される医療業界の環境の変化から、医療関連銘柄の堅調なパフォーマンスが期待できるとの見方だ。

主な購入費用など
申込手数料(上限、税込み):3.15%
信託報酬率(年、税込み):1.995%
信託財産留保額:なし
提供:モーニングスター社
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