「今後は小型株が優位の展開か、ITバブル相場直前に似た状況も」――インベスコ投信・得能シニアFM
2009年前半の日本株式市場では底打ちが強まったが、5月以降は大型株の上値が重くなる半面、中小型株の上昇が目立つ場面が見られた。2009年前半も多くの日本株に投資するファンドが設定されたが、中には中小型株に注目するファンドも出てきている。ただ、運用会社の中には中小型株の下落局面が長く続いてきたことなどを背景に、リーマン・ショック以降は小型株の調査人員を減らしているところも散見される。日本の成長株投資で知られ、インベスコ投信投資顧問で中小型株運用部ヘッドを務める得能修シニアファンドマネージャーにインベスコ投信の運用体制と、今後の中小型株式市場の見通しについて聞いた。
インベスコ投信の現状の運用体制と方針は
「私がインベスコ投信に2000年4月に入社して以来、中小型運用チームは人数が増えている。現状、中小型株は5人による調査・運用体制となっている。インベスコ投信では成長株の利益成長を見ていく哲学が確立されており、細部でのブラッシュアップを行っているが基本的に一貫した運用プロセスを採っている。考え方としては、企業が成長して他社と戦っていくには大きな潜在需要が必要であり、その潜在需要を満たすための期間、例えば3年後の企業の株価を織り込む動きを狙っていくというものだ。そこには他社の参入などの競争が生まれるが、他社がまねできない技術を持つなどの競争優位性を持つ企業を探す。
企業の競争優位性をみることは難しいが、方法は2つあると考えている。時間と手間をかけ、例えば社長の業績見通しのくせといったものまで理解できるまで調査を行う。また、企業の同業他社に聞く、証券会社のセクターアナリストに聞くといった『外堀を埋める』形で情報収集も行う。一方で、ファンド運用に一貫性を持たせるため、チームのメンバーの考え方のすり合わせが重要だ。例えば、個々人の企業調査の方法が比較できないと、企業の業績などを他社と比べることができない」
これまでの日本株の上昇をどうとらえているか
「2009年3月以降の上昇相場について、3つのフェーズに分けて考えている。第1のフェーズは5月までの輸出株を中心とした大型株の戻り相場。第2フェーズは、5月中旬から6月初めにかけての小型株の出遅れ修正の動き。6月11日に日経平均株価が1万円を回復したあとは、第3フェーズに入ったとみている。ただ、日経平均株価が1万円からさらに上昇を狙うには買い材料は不足しているとみており、今後は個別企業で材料性のある銘柄や今後の成長性が見込める企業、つまり小型成長株に資金が向かう展開となるだろう。これまでの株価上昇で投資家のリスク許容度が高まっており、企業の将来性に視線が向かってきている。ただ、企業業績は2009年度上期には事前予想を上回るものの、下期見通しにはやや不透明感がある」
今後の小型株をどうみるのか
「今後2年間程度、小型株が優位となる可能性があるとみている。信用リスクへの懸念が後退し、一方で景気低迷下での過剰流動性という状況は、過去のIT(情報産業)バブル相場に入る直前の1998年の状況に似ている。過去の例でみても、新興市場は景気後退局面に方向転換し、景気拡大局面の前半まで小型株優位の展開となった。(小型株には)バイサイド、セルサイドアナリストからともに見過ごされている銘柄も多く、将来の『高成長』の銘柄を選別するわれわれの哲学が活きるとみている」
提供:モーニングスター社
インベスコ投信の現状の運用体制と方針は
「私がインベスコ投信に2000年4月に入社して以来、中小型運用チームは人数が増えている。現状、中小型株は5人による調査・運用体制となっている。インベスコ投信では成長株の利益成長を見ていく哲学が確立されており、細部でのブラッシュアップを行っているが基本的に一貫した運用プロセスを採っている。考え方としては、企業が成長して他社と戦っていくには大きな潜在需要が必要であり、その潜在需要を満たすための期間、例えば3年後の企業の株価を織り込む動きを狙っていくというものだ。そこには他社の参入などの競争が生まれるが、他社がまねできない技術を持つなどの競争優位性を持つ企業を探す。
企業の競争優位性をみることは難しいが、方法は2つあると考えている。時間と手間をかけ、例えば社長の業績見通しのくせといったものまで理解できるまで調査を行う。また、企業の同業他社に聞く、証券会社のセクターアナリストに聞くといった『外堀を埋める』形で情報収集も行う。一方で、ファンド運用に一貫性を持たせるため、チームのメンバーの考え方のすり合わせが重要だ。例えば、個々人の企業調査の方法が比較できないと、企業の業績などを他社と比べることができない」
これまでの日本株の上昇をどうとらえているか
「2009年3月以降の上昇相場について、3つのフェーズに分けて考えている。第1のフェーズは5月までの輸出株を中心とした大型株の戻り相場。第2フェーズは、5月中旬から6月初めにかけての小型株の出遅れ修正の動き。6月11日に日経平均株価が1万円を回復したあとは、第3フェーズに入ったとみている。ただ、日経平均株価が1万円からさらに上昇を狙うには買い材料は不足しているとみており、今後は個別企業で材料性のある銘柄や今後の成長性が見込める企業、つまり小型成長株に資金が向かう展開となるだろう。これまでの株価上昇で投資家のリスク許容度が高まっており、企業の将来性に視線が向かってきている。ただ、企業業績は2009年度上期には事前予想を上回るものの、下期見通しにはやや不透明感がある」
今後の小型株をどうみるのか
「今後2年間程度、小型株が優位となる可能性があるとみている。信用リスクへの懸念が後退し、一方で景気低迷下での過剰流動性という状況は、過去のIT(情報産業)バブル相場に入る直前の1998年の状況に似ている。過去の例でみても、新興市場は景気後退局面に方向転換し、景気拡大局面の前半まで小型株優位の展開となった。(小型株には)バイサイド、セルサイドアナリストからともに見過ごされている銘柄も多く、将来の『高成長』の銘柄を選別するわれわれの哲学が活きるとみている」
提供:モーニングスター社