急拡大するETF市場、「米ETFカンファレンス」では運用のプロが今すぐ使える投資アイデアを激論

 米モーニングスターは9月16日、17日にシカゴでETF(上場投資信託)をテーマにした第1回「ETF・インベスト・カンファレンス」を開催した。米国ではETFの資産残高が急成長を遂げ、投資家の関心がこれまでになく高まっている。「投資するETFを探す前に、まず投資アイデアを明確にすることが重要」(米モーニングスター)とされるため、カンファレンスではETFに精通した大手資産運用会社の投資責任者などがETFの投資対象としてどのような資産が魅力的かについて講演した。

<配当利回りに脚光>

 カンファレンスでは、現在は米金利が非常に低い水準にあるため、株式のリターンを重視すべきだとの意見が複数出ていた。インデックスファンド運用最大手バンガード・グループのフラン・キニリー氏は利回りが低い国債や社債よりも株式の方が利益を上げるチャンスは大きいと指摘。バンガードが予想する債券全般の年リターンは2−3%にとどまる一方、株式全般の年リターンは9−10%に達する見込みという。

 企業の増配の動きが株式のリターン向上につながるとの見方もあった。資産運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)のダン・ファーリー氏は、企業が保有する現金残高が過去50年間で最高水準に達したと述べ、企業は積み上げたキャッシュを増配やM&A(企業の合併・買収)に使うと予想。無配だった企業が配当の支払いを始める可能性もあるといい、シスコシステムズが最近、初の配当実施計画を発表したことに言及した。

<東南アジアに熱視線>

 一方、新興国株式への投資も重要なテーマとなった。ファーリー氏は、新興国株式の予想PER(株価収益率)は過去平均に比べて割安な水準に近づきつつあると説明。新興国の人口動態に着目した投資家は多国籍企業の株式が多く組み入れられたETFを購入することが多いが、新興国の小型株の方が人口動態の変化がより株価に反映されやすいとアドバイスした。

 新興国市場に詳しい資産運用会社ヴァン・エック・グローバルのデービッド・センプル氏は、新興国の公的債務残高は数年前に比べて大きく改善しており、民間企業の債務残高もキャッシュフローが設備投資や配当金などの支出額を上回っているため低水準にあると分析。同氏はカンファレンス開催中に行われたモーニングスターとのインタビューで、「新興国市場への投資は先進国に比べてさまざまなリスクがあるが、新興国の資本市場の整備・拡充が進むにつれてリスクは低くなる。これにより、従来よりも実体経済の成長を反映する形で新興国の市場に資金が流入するだろう」と話した。

 最近では東南アジア株式の好パフォーマンスに注目。「特にインドネシアは年初から株価も通貨も非常に堅調だ」と述べ、政治の安定など構造的な変化が背景にあるとした。株価が上昇基調を続けているフィリピンやタイにも関心があると語った。

<「バイ・アンド・ホールドだけでは不十分」>

 リーマン・ショック後の金融危機を経て、多くの投資家は株式などの資産を長期保有する「バイ・アンド・ホールド」という投資哲学に失望した。しかし、資産分散やポートフォリオ理論をテーマにしたパネルディスカッションではパネリストから「バイ・アンド・ホールドは死んでいない」との意見が出され、単純に保有するだけでなくポートフォリオの投資配分などを定期的に見直す「リバランス」が必要と指摘された。

 さらに、通貨やコモディティー(商品)、不動産といったさまざまなオルタナティブ(代替)投資の商品に少しでも資産を配分するだけで、ポートフォリオ全体のボラティリティ(変動性)を引き下げるのに十分な効果があるとの見解が示された。
提供:モーニングスター社
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