ドイチェAMの投資担当者「アグリビジネス」の展望を語る、農業・食糧関連ビジネスに投資妙味

 ドイチェ・アセット・マネジメントが5日、ドイチェグループの豪シドニーに籍を置くアグリビジネス(広義の農業・食糧ビジネス)株式運用戦略の投資スペシャリスト、ビル・バーバー氏を招き、アグリビジネスの投資環境について語った。

 バーバー氏によると、世界的な食料品価格の上昇傾向が続くなか、農業や食糧関連への投資は妙味を増しているという。近年は増大する食糧需要を背景に、穀物の消費量を生産量で補い切れない状況が目立ち、期末在庫率も2020年には国連食糧農業機関(FAO)が定めた安全在庫水準を下回ることが予測されている。バーバー氏はアグリビジネスに世界規模で変化をもたらす要因として、(1)世界人口の増加(2)新興国の所得の増加(3)都市化による限られた耕地(4)バイオ燃料の拡大(5)地球温暖化や気候変動によると推定される異常気象――の5つを挙げており、また、この回避しがたい各要因がアグリビジネスの必要性を高め支援材料にもなると指摘している。

 (2)について、可処分所得が増えれば食肉需要が高まり、牛肉をはじめ鶏卵、鶏肉、豚肉などタンパク質製品の消費が増加することは統計からも明らかで、畜産用の飼料の需要拡大につながるとしている。また、(4)については、例えばバイオ燃料に関する法的な制度が用意されている米国では、年間のトウモロコシ生産全体の実に約4割がエタノール生産に使用されており、食品、飼料といった用途でのトウモロコシの需給を引き締めているという。

 こうした投資環境を鑑み、バーバー氏は「アグリビジネスに対しては、川上から川下まで全体を視野に入れて投資しなければならない」と主張する。大半の投資家はアグリビジネスという言葉から農業を中心に種子・肥料、農場・農園、水、農機具、農家といった川上の産業ばかりを思い浮かべる傾向にあるが、物流や保管、食品加工、消費者製品、市場調査、小売りから、バイオ燃料や、食肉、魚などの穀物の代替食糧など川下までをも視野に入れる必要があるという。事実、バーバー氏は水産養殖や小麦のサプライチェーン(供給体制)マネジメントなどの一部の企業もアグリビジネス関連として扱っている。

 また、今後のアグリビジネスの注目テーマのひとつとして「アグリ・バイオテクノロジー」を挙げた。すなわち、遺伝子組み換え技術による食品の品質改良や生産性の向上は、上述の食糧需給状況からみれば避けられない課題であり、日本では若干抵抗感があるかもしれないが、現在はカナダを含む北米や南米を中心に遺伝子組み換え作物が普及しているという。豪州、欧州でも浸透中といい、アジア圏を含めれば、将来的な拡大余地は大きいとした。米モンサント社、スイスのシンジェンタ社などを、恩恵を受ける企業の一例として挙げている。

 ドイチェでは、アグリビジネス関連ファンドとして「DWS ワールド・アグリビジネス・ファンド」<2007092101>、「DWS・グローバル・アグリビジネス株式ファンド」<2007061801>などを運用しており、両ファンドの設定来のパフォーマンスは一般的な参考指標となるMSCIワールド指標を上回る成績を出している。バーバー氏は「アグリビジネスは5年後、10年後も依然順調だろう」との見方を示した。
提供:モーニングスター社
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