「ソブリン・リスクの時代、資産運用から資産保全へシフト」=ピクテ投信の萩野社長

 ピクテ投信投資顧問は17日、都内でピクテの投信戦略と題し販売会社向けにセミナーを開催した。同社の萩野琢英社長はセミナーのなかで、これから到来すると予想されるソブリン・リスク(国に対する信用リスク)に備え、資産を分散投資することの重要性を説明。また、先行き不透明な時代のなかで、「資産運用」から「資産保全」へシフトし、顧客の資産を今後10年−20年の中・長期間にわたって守り抜くことに重点を置く考えを示した。

 萩野社長は、「ピクテの最大の強みは200年あまりの運用で培った経験やノウハウを有していること」とし、先行き不透明な時代において他社に対する優位性がある点を強調した。

<ソブリン・リスクの時代>

 萩野社長は、「44カ国の公的債務残高のGDP(国内総生産)に対する比率は、リーマン・ショックを経て歴史的高水準となっており、特に米国や欧州、日本などの先進国で増加傾向にある」と指摘。同比率が一定程度まで上昇した後にデフォルト(債務不履行)に陥る国が歴史上多く発生しており、ソブリン・リスクが高まっていると話した。また、70年代以降デフォルトに陥った国の多くは固定相場制を敷いていたことに言及、「昨今発生した欧州金融危機もユーロの固定相場制」(萩野社長)で、類似点があるという。

 国債は1970年代以降リスク・フリー・アセット(安全資産)との概念が定着してきたが、「現在こうした概念が崩れ始めている」(萩野社長)と解説。安全資産という概念を維持するために中央銀行が国債を買い支えているが、紙幣発行を伴う国債の買い入れは、インフレを招くリスクがあると指摘した。また、日本の国債利回りの低下を受け、デュレーションが長くなっていることから、金利が上昇に転じれば、債券のキャピタルロスが大きくなるリスクがあることも説明した。

 萩野社長は今後の為替変動リスクにも言及。これまでは、ドル・円と貿易収支はリンクする関係にあったものの、リーマン・ショック以降は欧米の金融緩和によりその相関性がなくなっており、日本の基幹産業は貿易収支と為替変動の連動によって生き残ってこられたが、この相関性がなくなっていることで、ここ3年程度は日本の製造業が苦しんでいると解説した。また、現在の貿易赤字の水準を考えれば、この相関性が戻った際に大幅な円安にフレる可能性もあることを念頭に入れておく必要があるとした。

 こうしたソブリン・リスクやインフレ懸念、為替変動に対するリスクに対処し、資産保全に備えるためにも株式や金の保有の重要性を訴えた。

<資産保全に向けたアセット・ミックス戦略>

 萩野社長は、不透明な時代に対応するため資産保全に向けた分散投資戦略を紹介。投資先のデフォルト・リスクや政治的なリスクを考慮に入れたソブリン・セレクト(国債の選別)を行うことや、インフレへの備えとして株式・不動産・金への資産に配分すること。また、国債の大量発行などに備えるため流動性への対応も非常に重要だと話した。

 そして、モデルファンドの一つとして、2月29日に設定が予定されている債券への投資が70%(そのうち為替ヘッジを行うものが60%)、海外株式が20%、金へ10%投資するバランスファンド「ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(毎月分配型)(愛称:ノアリザーブ)」を紹介した。同ファンドは想定される様々なリスクに対処するため、機動的なアセットアロケーションを可能にするという。
提供:モーニングスター社
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