バンガード英国リテール統括者に聞くNISA成功のヒント、英国ISA「恒久化」で大量退職に備え

 NISA(少額投資非課税制度)が14年1月からスタートした。個人投資家の長期の資産形成を実現する制度として期待されるNISAだが、非課税期間が5年、口座開設期間が10年に限定されているなど課題も多い。今後、制度改革やNISA向け商品のさらなる充実が望まれるが、こうしたなかで参考になるのがNISAのモデルとなった英国のISAだ。インデックスファンド運用最大手バンガードの英国リテール(個人投資家向け)ビジネス統括者で、ISAに詳しいニック・ブレイク氏にISAの最新動向や人気商品、バンガードの取り組みなどを聞いた。

 ――昨年はNISA向けファンドが相次ぎ設定されるなど注目が集まったが、英国のISAの現状はどうか。

 「英国でもISAは非常に人気を博している。投資家は年間拠出額の限度内で預金型ISA(預貯金やMMFなど)と株式型ISA(株式や債券、投資信託など)に資金を振り分けることができ、柔軟に資産を運用することが可能だ。12−13年度(13年4月5日までの1年間)でISAの資金拠出口座数は約1400万口座となり(1999−2000年度は約900万口座)、そのうち約1100万口座が預金型ISA、約300万口座が株式型ISAだった。ISAは従来預金のみだった人々が投資を始めるうえで重要な役割を果たしている。株式型ISAのなかでは株式に投資するタイプの投信が特に人気がある。ISAの前身であるPEP(個人持株制度)からISAに移行するなかで、投資対象も英国株に限らず、世界の株式にも投資できるようになった」

 ――日本ではNISAの恒久化を検討するうえで、税収面などデメリットを懸念する向きもあると思うが、英国でも慎重論があったのか。

 「確かに税収の落ち込みといったマイナスの面もあるが、ISAの恒久化により投資家が積極的に投資に取り組むようになったことを考えれば、政策として成功したと言えるだろう。預金型ISAの利用者は少しでも金利の高い商品を探すことが習慣化した。ベビーブーマーが退職期を迎えるなか、ISAの恒久化により国民が老後資金の備えをするようになったことは大きい」

 ――ISAで成功した商品をNISAで検討する日本の金融機関も多いと思われる。ISAではどのようなタイプの商品が人気を集めているのか。

 「英国の当局は金融機関にすべての投資家を公平に扱うよう求めている。業界団体の調査によると、ISAの利用者は金融資産の残高が少なく、金融にあまり詳しくない人々が中心となる。このため、長期にわたり保有できる商品やグローバルに分散されたバランスファンド(複合資産型ファンド)などが人気だ。あまりリスクを取れない投資家が中心となっていることから、短期的なトレンド追う商品や仕組み債を組み込んだ複雑な商品はISA向けではない」

 ――バンガードのISAへの取り組みはどうか。

 「バンガードでは、投資家が適切な資産運用を行うために、4つの原則に従うことが重要であると考える。(1)明確な投資目的(2)分散投資(3)低コスト(4)規律を維持した投資――という4つの点だ。バンガードは英国でもこれらの投資哲学に沿ったさまざまな商品を提供している。株式と債券を組み合わせたバランスファンド『バンガード・ライフストラテジー・ファンド』もそのうちの一つ。低コストでかつ、リバランスも運用会社が行うバランスファンドは、リスクを抑えたい人々も含めすべての投資家を公平に扱うというISAの考え方に合った商品と言えるだろう」
提供:モーニングスター社
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