損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント、日本一お客さまのことを考える資産運用会社をめざす

 金融庁が今年3月に示した「顧客本位の業務運営に関する原則」に対し、主な金融機関は6月末までに原則を採択している。損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの代表取締役社長の山口裕之氏は、「日本一お客さまのことを考える資産運用会社をめざし、バリュー投資のアクティブマネージャーとして、お客さまから絶対的な信頼を獲得したい」と語っている。

 ――5月30日に原則の採択とアクションプランを公表した。すでに昨年3月には「お客さま第一宣言」を公表し、アクションプランの発表では山口社長自らがメッセージを添えるなど、前向きに取り組んできている。

 アクティブマネージャーとして、「VUCA(不安定、不確実、複雑、あいまい)の時代」にあって、勝ち残っていくための考え方を突き詰めて考えた結果が、「お客さま第一宣言」だった。今般、金融庁が発表した原則は、当社の理念から全面的に賛同できる。

 日本株式のバリュー投資に強みを持つ運用会社として、投資の本質について積極的に情報発信し、日本における金融リテラシーの向上に貢献したいという考えがある。米国では「株式の保有は経営に参画し、企業価値を向上させること」という姿勢で投資が語られてきた。株主の立場から経営に対してもの言うことが根付いている。日本の場合は、間接金融が中心で、経営にものをいうのは、メインバンクやグループ企業ということが定着していた。したがって、日本における株式投資は、企業価値にはあまり着目せず、株価の「売り時」「買い時」を判断するテクニックに重きを置かれてきた。当社が、投資の本質を体現した良質なアクティブ運用によりベンチマーク以上の運用成績を残し続け、お客さまから絶対的な信頼を獲得することで、投資の本質は「株価」ではなく「企業価値」ということの理解を広げたい。

 企業経営者サイドでは、すでに株主価値の向上を強く意識した行動を起こしている。今年5月に経済同友会が出した「資本効率最適化経営を推進する経営者の行動宣言」は、産業界の姿勢を示している。対する金融業界も変わっていく必要があると思っている。当社はその先頭に立ちたいという思いだ。

――貴社はアクションプランで「運用報酬の引き下げをめざす」と踏み込んでいる。

 経営者として覚悟を持って取り組むテーマと考えている。「運用報酬の引き下げ」とは、企業活動を通じて得た利益を、お客さまに優先して配分していくということだ。

 当社が運用するファンドの信託報酬は、すでに業界平均以下の水準にあるものが多いが、業界平均と比較してどうかではなく、お客さまにとって「合理的な運用報酬の水準」となることを目指し、「運用報酬の引き下げ」の検討を進めていきたい。パフォーマンスを一段と向上するためのシステム投資や情報データの拡充などにも取り組んでいる。

――利益相反の適切な管理について、実施されている対策や今後の計画は?

 ガバナンスは、外形にこだわりすぎず、お客さま目線にたっているかどうかを重視している。当社では、外部の有識者からなる「お客さま第一委員会」を設置しており、信託報酬の水準や公募ファンドの分配方針などのテーマについて、四半期ごとにご意見・ご助言を頂いている。

 利益相反については、グループ会社間で情報を遮断している体制であることを明確にするため、CIOや株式運用部長など、運用部門の管理職以上の者には、グループ会社からの出向者を1人も置かない体制にしている。

 また、米国の運用会社から日本株の運用者としてサブマネジャーに就いてほしいという要請があり、今般、米国SECの登録を行ったが、米国での行為基準は、日本の基準より一段と厳しいルールで運用されているものが多い。当社の社内ルールも、日米両国の基準を満たすように見直しを行った。

――重要な情報の分かりやすい提供については?

 お客さま向けの資料等については、目論見書のユニバーサルデザインの採用や、分配方針を分かりやすく伝えるなど、お客さま第一宣言以降、徹底して見直しを行っている。

――KPI(客観的に評価できる成果目標)は?

 アクションプランに応じて、社内的には、定量KPIおよび定性KPIを設定しているが、現時点ではKPIを追うことよりも、お客さま第一の企業文化を定着させることを優先したいと考えているため、KPIの公表は今後の検討課題である。今年度は、社員一人ひとりの仕事目標の中に、お客さま第一に関する目標を必ず設定するようにしており、良い取組みはプラスで評価することで、お客さま第一の意識向上を図っている。
提供:モーニングスター社
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