ブラックロックのグローバル投資家調査、日本人の老後生活に備えた準備不足が目立つ
日本人は、自分の老後の資金計画に不安を抱えつつも、退職に向けた準備に取り掛かっている人が少ない――。ブラックロックグループが世界18カ国/地域の約2.8万人を対象に実施した「ブラックロック・グローバル・インベスター・パルス・サーベイ(投資家動向調査)2017」において、日本人の老後への準備不足が明らかになった。そのためなのか、日本人は将来の生活に対して他の国々よりも悲観的に感じている人が多い。
「ブラックロック・グローバル・インベスター・パルス・サーベイ2017」は2017年1月に実施。日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、チリ、英国、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、スウェーデン、中国、香港、シンガポール、台湾に住む投資家を対象に調査した。日本人は、個人投資家1000名(25歳−74歳、男性469名、女性531名。金融資産1000万円以上の382名を含む)。日本を加えた調査は今回で3回目。前回は2015年に実施した。
日本人の71%が、将来の自分自身の経済状況に対して悲観的な見方をしている。グローバルでは悲観的に考えている人は43%なので、日本人の悲観的な見方が際立って高い。この傾向は、2015年調査と変わらないが、将来を不安に感じさせる「リスク要因」には変化があった。日本人は、「医療費」「自国の経済の状況」を挙げる人が多いのは前回と同様だったが、今回は、「増税/税政策」や「退職後の資金不足」を挙げる人の比率が目立って上昇した。
ただ、「退職後の準備を始めていますか? 」という質問には、日本では56%が始めていると回答するにとどまった。この比率は、前々回(2014年)の42%、前回の55%と比較すると上昇しているが、米国で61%、中国で80%が既に退職後の準備を始めていることと比較すると低い。また、現在保有している金融資産の構成比を聞くと、日本は75%が預貯金となり、前回調査69%から一段と預貯金比率が高まった。グローバル平均の59%と比較して日本の預貯金比率が際立って高い。
一方、「退職後に向けた資産形成をいつから始めるべきか? 」という質問に対しては、29歳までに開始すべきとの回答が36%、39歳までにとする回答が64%となり、前回の結果(それぞれ20%、47%)から、大幅に早まっている。日本人は、退職後のための資産形成を早めに始めた方が良いと思っていながらも、実際にはできていない人が多いという傾向が見て取れる。
その結果、退職後に備えた資産形成について「順調」「順調だと思うが確信はない」との回答が日本人は30%にとどまり、米国の48%、ドイツの59%など先進国と比較すると突出して低い結果となり、日本人は退職後の資金計画に悩んでいる実態が浮き彫りになった。
また、日本人は、約半数が「退職後に資金が尽きるのが不安」と回答しているものの、「退職後の生活に向けていくら貯める必要があるか理解している」という人は30%にとどまっている。アジアでは55%、米国では48%が退職後に向けた貯蓄額のメドを把握していることと比べると、日本人の現状理解は希薄といえる。
そこで、ファイナンシャルアドバイザー(FA)の投資助言を受けているかと質問すると、日本ではFA利用者は12%と依然低い。前回の調査ではNISA(少額投資非課税制度)の導入を機に、前々回の8%から11%へとアップしたこともあり、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象者の拡大や、「つみたてNISA」の導入などによって、一段と専門家への相談利用が増えていく可能性がある。ちなみに、米国では26%、アジアで38%の人がFAを利用している。
日本ではオンラインサービスの利用率が高い。オンラインで投資状況を確認して「実際に投資を行った」人は、米国の17%に対して日本は37%になっている。そして、「ロボアドバイザー」について「知っている」が14%、「聞いたことがある」が22%となり、若い世代を中心にロボアドバイザーへの関心が高まっていることもわかった。ロボアドバイザーのサービスで先行する米国の「知っている」24%、「聞いたことがある」23%と並ぶくらいに、急速にロボアドバイザーの知名度が高まっている。
米国ではFAのアドバイスと併用してオンラインで取引したい人が48%を占める。日本では併用を希望する人は29%にとどまっているが、今後、老後資金の資産形成を実施する人が増えると、アドバイザーによる相談を併用するニーズが高まることも考えられる。
提供:モーニングスター社
「ブラックロック・グローバル・インベスター・パルス・サーベイ2017」は2017年1月に実施。日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、チリ、英国、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、スウェーデン、中国、香港、シンガポール、台湾に住む投資家を対象に調査した。日本人は、個人投資家1000名(25歳−74歳、男性469名、女性531名。金融資産1000万円以上の382名を含む)。日本を加えた調査は今回で3回目。前回は2015年に実施した。
日本人の71%が、将来の自分自身の経済状況に対して悲観的な見方をしている。グローバルでは悲観的に考えている人は43%なので、日本人の悲観的な見方が際立って高い。この傾向は、2015年調査と変わらないが、将来を不安に感じさせる「リスク要因」には変化があった。日本人は、「医療費」「自国の経済の状況」を挙げる人が多いのは前回と同様だったが、今回は、「増税/税政策」や「退職後の資金不足」を挙げる人の比率が目立って上昇した。
ただ、「退職後の準備を始めていますか? 」という質問には、日本では56%が始めていると回答するにとどまった。この比率は、前々回(2014年)の42%、前回の55%と比較すると上昇しているが、米国で61%、中国で80%が既に退職後の準備を始めていることと比較すると低い。また、現在保有している金融資産の構成比を聞くと、日本は75%が預貯金となり、前回調査69%から一段と預貯金比率が高まった。グローバル平均の59%と比較して日本の預貯金比率が際立って高い。
一方、「退職後に向けた資産形成をいつから始めるべきか? 」という質問に対しては、29歳までに開始すべきとの回答が36%、39歳までにとする回答が64%となり、前回の結果(それぞれ20%、47%)から、大幅に早まっている。日本人は、退職後のための資産形成を早めに始めた方が良いと思っていながらも、実際にはできていない人が多いという傾向が見て取れる。
その結果、退職後に備えた資産形成について「順調」「順調だと思うが確信はない」との回答が日本人は30%にとどまり、米国の48%、ドイツの59%など先進国と比較すると突出して低い結果となり、日本人は退職後の資金計画に悩んでいる実態が浮き彫りになった。
また、日本人は、約半数が「退職後に資金が尽きるのが不安」と回答しているものの、「退職後の生活に向けていくら貯める必要があるか理解している」という人は30%にとどまっている。アジアでは55%、米国では48%が退職後に向けた貯蓄額のメドを把握していることと比べると、日本人の現状理解は希薄といえる。
そこで、ファイナンシャルアドバイザー(FA)の投資助言を受けているかと質問すると、日本ではFA利用者は12%と依然低い。前回の調査ではNISA(少額投資非課税制度)の導入を機に、前々回の8%から11%へとアップしたこともあり、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象者の拡大や、「つみたてNISA」の導入などによって、一段と専門家への相談利用が増えていく可能性がある。ちなみに、米国では26%、アジアで38%の人がFAを利用している。
日本ではオンラインサービスの利用率が高い。オンラインで投資状況を確認して「実際に投資を行った」人は、米国の17%に対して日本は37%になっている。そして、「ロボアドバイザー」について「知っている」が14%、「聞いたことがある」が22%となり、若い世代を中心にロボアドバイザーへの関心が高まっていることもわかった。ロボアドバイザーのサービスで先行する米国の「知っている」24%、「聞いたことがある」23%と並ぶくらいに、急速にロボアドバイザーの知名度が高まっている。
米国ではFAのアドバイスと併用してオンラインで取引したい人が48%を占める。日本では併用を希望する人は29%にとどまっているが、今後、老後資金の資産形成を実施する人が増えると、アドバイザーによる相談を併用するニーズが高まることも考えられる。
提供:モーニングスター社