三井住友アセットの交付目論見書がUCDAアワード2017受賞、FD宣言きっかけに分かりやすさを追求

 三井住友アセットマネジメントが設定・運用する「三井住友・中小型株ファンド」の交付目論見書がユニバーサル コミュニケーション デザイン協会主催「UCDAアワード2017」の「投資信託分野 交付目論見書」で最優秀賞にあたる「UCDAアワード2017」を受賞した。2015年8月に業界に先駆けてフィデューシャリー・デューティー宣言を行い、「わかりやすい」「誤認されにくい」目論見書づくりに取り組んできた成果が高く評価された。同社の分かりやすい説明資料作成についてディスクロージャー部長の三島克哉氏と同部ドキュメンテーション課マネージャーの土屋裕子氏に聞いた。

 ――今回、「UCDAアワード」の投資信託部門にはたくさんの応募があったということだが、貴社の目論見書が高く評価されたポイントは?

 三島 「UCDAアワード」は、優れたコミュニケーションデザインを表彰するもので、「保険金手続きのご案内」「金融機関のミニディスクロージャー誌」「自治体の児童手当説明資料」「食品パッケージ(表示)」など8部門を対象に審査され、それぞれにアワードを含めた各賞を贈っている。印刷された説明資料が、いかに分かりやすいか、生活者の役に立っているかなどの観点で評価される。

 今年4年ぶりに「投資信託の交付目論見書」が評価対象物に選ばれたことを知り、これまでの取り組みが客観的に評価される機会だと考え応募した。UCDA協会はたくさんの応募があったことで、投信会社が目論見書の改善に積極的に取り組んでいることがわかったということだった。

 土屋 当社が評価されたポイントは、UCDA協会独自の読みやすさ評価法「DC9」において、他社を圧倒的に上回る高評価だったこと。また、デザインの面では、表や見出しが要点を整理して分かりやすいこと。そして、文字や行間などが適切な余白を設けて分かりやすく配置されていることなどだった。

 デザイン的なことは、当社では文字の大きさや配置の仕方、あるいは、色使いなどについて、かなり細かな内容までマニュアルを作って、どの印刷会社が対応しても同じ品質で印刷物が出来上がるようにしている。このマニュアル作りは2015年8月以来、時間をかけて積み上げていったものだ。

 今回は「三井住友・中小型株ファンド」の交付目論見書がアワード受賞の対象になったが、当社の交付目論見書はマニュアルによって、どのファンドでも受賞ファンドと同じ品質で制作している。いわば、当社が作っている交付目論見書の全てで賞をいただいたものと受け止めている。

 ――分かりやすい目論見書をめざして、具体的な取り組みは?

 土屋 2015年夏にユニバーサルデザイン化に取り組み始めた当時、東京都が作った「東京防災」の冊子がUCDAとカラーユニバーサルデザイン機構の2つの認証を同時取得したというニュースがあって、大きな刺激を受けた。

 まず、第1段階でフォントをユニバーサルデザインフォントに変更し、グラフの表現の仕方を改めた。グラフでは引き出し線をつけて、それぞれの折れ線等が何の動きを表しているのか明確にしている。

 第2段階で、ピクトグラム(絵文字)の使用をはじめ、ページの背景に薄い色をつける、全体的な余白を多くとってページ番号と目次をページの縦辺の中央にもつけるなどの変更を行った。現在は目論見書をPCなどで読む方も増えている。ディスプレーに映すと、真っ白な背景では目にまぶしい。薄い色を敷くことで目の負担を軽減している。

 第3段階では、一部のファンドで運用プロセスの紹介の仕方を改めた。工場の製造ラインに例えて、それぞれの工程でどのような作業を行っているのか、できるだけ分かりやすく解説している。また、運用担当者からのコメントを掲載している。作成にあたっては、ディクロージャー部が運用担当者を取材し、インタビューした上で制作している。

 ――今後の取り組みは?

 三島 現在、当社では様々な部門のメンバーが協力し、わかりやすい資料の作り方を検討している。ファンドマネージャーの運用コメントをひとつとっても、言葉の使い方で印象が大きく異なる。どのような表現が一番ふさわしいのか、ディスクロージャー部も今までの経験を生かし積極的に関わって意見を出している。

 また、従来は印刷物を中心にディスクロージャー資料を制作してきたが、時代は紙の上ではできないWebベースの情報を強く求めるようになっている。印刷物だけではなく、クロスメディアの情報提供にも取り組んでいきたいと考えている。
提供:モーニングスター社
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