優れた運用成績が続く低コストな先進国株式アクティブファンド−トップは135カ月連続で4ツ星以上

 相対的なコスト水準に優れ、優れたパフォーマンスを長期にわたって継続的に挙げている先進国株式アクティブファンドに着目したい。米国株式の断続的な過去最高値更新に刺激されて、先進国株式ファンドには昨年来国内投資家の旺盛な資金が流入している。足元の米国株式市場も、米企業の好決算を受けて過去最高値圏にある。テーパリング(量的金融緩和の縮小)開始や来年以降に予想される利上げはすでに織り込み済みとの見方が広がっているほか、中国の不動産市場問題に対する過度な懸念も後退しており、環境は良好に見える。ただ、株式市場の流れはいつ変わるか分からない。もとより、株価を予測することは不可能である。比較的環境が良好な今を、先進国株式アクティブファンドを改めて見直す機会としたい。

 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く、通貨選択型も除く)のうち、米国を中心とする先進国株式に投資するアクティブファンドを対象として、相対的に低コストで、かつ長期にわたって継続してモーニングスターレーティングに優れるファンドを抽出した。まず、2021年9月末時点のモーニングスターカテゴリーにおいて「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」(北米株式に投資)、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」(日本を含む先進国に投資)、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」(日本を除く先進国に投資)の3カテゴリーに属するアクティブファンドの中で、同月末時点の純資産残高10億円以上のファンドを選択した。その後、モーニングスターフィーレベルで「安い」もしくは「平均より安い」によって絞り込み、さらにレーティングが継続して「4ツ星」以上であるファンドを探った。

 モーニングスターフィーレベルは、資産別とアクティブ・パッシブ別に独自のカテゴリーを設け、ファンドの信託報酬がその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを、最も低コスト水準の「安い」から順に、「平均より安い」「平均的」「平均より高い」「高い」で示したもの。モーニングスターレーティングは、ファンドのリスク調整後のリターンが、その属するモーニングスターカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で示したもので、最上位の5ツ星、およびそれに続く4ツ星は相対的な運用効率に優れていることを示す。

 4ツ星以上の継続期間が最長となったのは「セゾン 資産形成の達人ファンド」。現行のレーティングの付与が始まった2010年7月から2021年9月まで135カ月間一貫して4ツ星以上となった。以下、「米国NASDAQオープンBコース」が83カ月連続、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」が77カ月連続、「グローバル・バリュー・オープン」が73カ月連続、「野村 世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が64カ月連続で続いた。

 「セゾン 資産形成の達人ファンド」は複数のファンドへの投資を通じて、日本を含む世界の企業の株式に分散投資する。2021年8月末時点の国・地域別投資比率は北米47.5%、欧州23.6%、日本12.3%など。

 「米国NASDAQオープンBコース」は米国ナスダック上場企業の中から、成長性、収益性、安定性を総合的に考慮して選択した銘柄に投資する。モーニングスターのファンドオブザイヤー2020では「国際株式型 (特定地域) 部門」において優秀ファンド賞を受賞している。

 「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は、持続的な高成長が見込まれる米国企業の株式に投資する。「Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型」「Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」と並んで、投資家の旺盛な資金流入が継続している。モーニングスターのファンドオブザイヤー2020で「国際株式型(特定地域)部門」において優秀ファンド賞を受賞するなど、過去4度の受賞歴がある。

 「グローバル・バリュー・オープン」は世界各国の企業の中から、「配当利回り」や各種バリュエーション指標から割安と判断した銘柄に投資する。日米英の大・中型株を主要投資対象とする。

 「野村 世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、日本を含む世界の半導体関連企業の中から、技術力、価格決定力、財務内容などの分析を通じて選択した銘柄に投資する。「野村 世界業種別投資シリーズ」には、ほかに、「世界金融株投資」「世界資源株投資」「世界ヘルスケア株投資」がある。
提供:モーニングスター社
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