「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が急浮上=ネット証券の投信積立契約件数ランキング

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、22年2月)では、トップ2は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で変動はなかったが、前月第3位だった「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が5位に後退し、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が揃って3位に浮上した。また、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が前月の15位から7位に急浮上した。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、ファンド名の通り、8資産に均等で分散投資をするバランスファンド。日本株式、先進国株式(除く日本)、新興国株式、日本債券、先進国債券(除く日本)、新興国債券、日本REIT、先進国REIT(除く日本)の8資産を投資対象としている。

 2020年3月に「コロナ・ショック」で世界の株価が下落した局面からの立ち直りは、21年12月末までの2年足らずの間は米国株式主導の上昇相場だった。先進国株式インデックスに占める米国株式の比率は、米国が65%程度を占めるとはいえ、8資産に分散すると先進国株式への投資比率は12.5%でしかない。12.5%のうち65%が米国株式だとすると、ポートフォリオ全体での米国株式の比率は8%程度にとどまるということになる。また米国株式が調子よく上昇していた期間には、新興国株式は中国株式の失速によって低迷し、国内外のREITのパフォーマンスも悪かった。日本株式も米国株式と比較するとパフォーマンスが劣後するため、8資産に分散することによってリターンの伸び率は、ずいぶん抑えられた結果になった。

 22年1月末基準で過去2年のトータルリターンは「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は6.37%で、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の21.07%と比較すると大きく見劣りする。確かに、この間のリスク(標準偏差)は「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は12.97%で、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の19.41%に比べて低くなった。しかし、リターンで圧倒的な差があるため、運用の効率性を示すシャープレシオでは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の1.09に対し、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は0.49と劣る。

 はっきり言って「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、過去2年において、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に対し、あらゆる側面で見劣りするファンドだったといえよう。

 しかし、その「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の人気が復調してきている。まだ、22年2月の1カ月だけのことであり、トップを独走する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に対してベスト10の7位に食い込んだ程度のため、それほど大きな動きで人気化しているわけではない。

 それでも年初からの米国ハイテク株式への強い逆風を見ていると、REITや新興国株式、日本株式などは、これまで大きく値上がりしてこなかっただけに、「割安」に見えてくることは確かだ。ウクライナ情勢が落ち着いて、「リスクオフ(株式やREITなどリスク資産の回避)」から「リスクオン(リスク資産の投資実行)」へ転換した際に、より大きく買われるのはREITや新興国株式になるかもしれない。将来のことを予測することは難しいが。2月の積立契約件数ランキングには、そのような「バランス型ファンドの逆襲」を期待させるような動きが読み取れる。
提供:モーニングスター社
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