ETFインタビュー(2):ETFは50代以上のまとまった資金のある投資家向き=FPカン・チュンド氏

――ETFを含めたポートフォリオの構築例にはどのようなものがあるか。
「資産全体に占める割合は60%が安全資産、残りの40%がリスク資産とするのが基本だ。安全資産は円建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)がよいだろう。今回のように相場が暴落したときはリスク資産が大きく目減りするため、ポートフォリオのリバランスを行う必要が出てくる。MMFは運用期間が決まっておらず、いつでも解約できるため、機動的に投資配分の比率調整を行える。日本国債を安全資産として持つ方法もあるが、満期があるなどMMFに比べて資産運用をする上での制約が多く、あまり勧められない」

「一方、リスク資産40%のうち、ETFが占めるのは27%(米国株式ETF6.75%、米国除く先進国株式ETF6.75%、新興国株式ETF13.5%)で、残りの13%は外国債券で保有する。外国債券は為替リスクがあるものの、債券は株式と異なる値動きをするので、ポートフォリオの価値を下支えする。特に最近では各国中銀の相次ぐ利下げを背景に債券価格が上昇している。外国債券については、日本以外の先進国の国債に分散投資するようなETFが存在しない。その代わりとして、シティグループ世界国債指数(除く日本)に連動する投信で、日興アセットマネジメントが運用する『年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)』(追加型株式投信/バランス型)のような投信を用いる」

――実際にETFに投資する上での注意点は何か
「日本の証券取引所に上場するETFは種類が少なく、まだ発展途上だ。このため、世界株ポートフォリオを構築するには海外市場に上場するETF(海外ETF)を国内の証券会社を通じて購入する必要があるが、このとき問題となるのが手数料だ。ある程度大きな金額でETFを買わないと、コスト比率(購入額に対する手数料の割合)が高くなる。例えば、オンライン証券の中で最もETFの取引手数料が安いマネックス証券でも、海外ETFを売買する場合、1回の取引につき25.2ドルの手数料が発生する。仮に1000ドル(約9万3000円)分のETFを買うとコスト比率は2.52%だ。これは一般的な投信のコスト比率が1%〜3%で、中にはノーロード(手数料無料)の商品もあることを考えると、決して安い水準ではない。ただ、同じETFを1回の取引で1万ドル(約93万円)分購入すれば、コスト比率はその10分の1の0.25%と十分安くなる。ETFは50代以上の方に向いていると考えているが、これはまとまった資金がある投資家が多いからだ」

「逆に、若い世代で1カ月の給料から2万円〜3万円程度しか投資に回せないのであれば、ETFではなくノーロードのインデックスファンドを選んだ方がよい場合もある。一般的な投信であれば1万円から投資できるので毎月積み立て投資に向いている。ETFへの投資にこだわる場合は、半年など自分で決めた期間で資金を貯め、さらにボーナスを加えるなどして、コスト比率を十分に低く抑えられる一定の金額でETFを購入した方がよいだろう」


提供:モーニングスター社
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