「バイ・アンド・ホールドだけでは不十分」―波乱相場に備えるための資産運用術

 リーマン・ショック後の金融危機を経て、多くの投資家は株式などの資産を長期保有する「バイ・アンド・ホールド」という投資哲学に失望した。インデックスファンド運用最大手バンガード・グループのサンディップ・バーガット氏と資産運用大手ラッセル・インベストメントのエリック・リスツベン氏は9月16日、17日にシカゴで開催された米モーニングスターの「ETF・インベスト・カンファレンス」のパネルディスカッションに参加し、バイ・アンド・ホールドの有効性などについて議論した。

 バーガット氏とリスツベン氏はともに、バイ・アンド・ホールドという投資哲学が「死んだわけではない」という意見で一致した。バイ・アンド・ホールドに代わる投資手法で、誰でも実践できるものがあるわけではない。バーガット氏によると、買い時を見計って投資する「マーケット・タイミング」タイプの投資家は、20年のうちほんの数日でも株価が大幅に上昇した場面で利益を上げることに失敗するだけでリターンは半分になるという。また、リスツベン氏は「投資の好機が訪れるのを待ち続けるのはストレスがたまるに違いない」と指摘した。

 ただ、バイ・アンド・ホールドだけでは十分ではなく、ポートフォリオの投資配分などを定期的に見直す「リバランス」が必要と両氏はアドバイスした。また、新しい金融商品が利用可能となれば、ポートフォリオに組み込む価値があるかを検討すべきだという。30年前なら、典型的な投資アドバイザーは投資適格級の債券とS&P500に資産をそれぞれ60%、40%配分するポートフォリオを提案していただろう。しかし、現在は先進国だけでなく新興国の株式、さらには通貨やコモディティ、不動産といったさまざまなオルタナティブ(代替)投資の商品を利用できる。こうした代替投資の商品に少しでも資産を配分するだけで、ポートフォリオ全体のボラティリティ(変動性)を引き下げるのに十分な効果があるとされる。

 両氏は米国株式の先行きについて過度に楽観的ではないものの、マーケットの見方は悲観的になりすぎだと考えている。米国株式の過去10年のパフォーマンスがさえなかったからと言って、今後10年も同じように低迷すると決めつけるべきではないとする。また、株価が割安かどうかは毎日または四半期ごとに判断するようなものではなく、より長期のスパンで分析する必要があるという。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。