ブラックロックのETF「iシェアーズ」がトップブランドになるまで―販売戦略のモデルは「医薬品業界」

 資産運用会社ブラックロックが展開するETF(上場投資信託)ブランド「iシェアーズ」の生みの親であり、iシェアーズの元グローバルCEO(最高経営責任者)のリー・クレインファス氏が9月16日、17日にシカゴで開催された米モーニングスターの「ETF・インベスト・カンファレンス」で講演した。iシェアーズをどのように業界トップのシェアを誇るETFブランドに育て上げたかについて語った。iシェアーズは運用会社のBGI(バークレイズ・グローバル・インベスターズ)がブラックロックに09年に買収されたことにより、現在はブラックロック傘下となっている。

 ETFビジネスを軌道に乗せるうえで大きな障害となったのは、投資家に商品を分かりやすく伝え、理解させることだったという。iシェアーズが誕生して間もない頃、主な顧客は機関投資家で、一般の投資家や投資アドバイザーが関心を持つようになったのはここ数年のことだ。

 同氏は、「iシェアーズのETFを先物やプログラム取引に代わるツールとして活用していたのはほとんどが機関投資家。機関投資家のニーズに応えるためにETFを設計および提供することは難しくなかった。しかし、個人投資家に利用してもらうには、ETFについてのかなりの教育が必要だった」と話した。

 iシェアーズを普及させるために参考にしたのが医薬品業界。製薬会社は患者に医薬品を販売するため、まず医師に重点を置いて医薬品に関する知識や営業戦略についての情報を提供する。これは医師が患者と信頼関係を築いており、医薬品や治療法を適切に説明する能力を持っているからだ。同氏はiシェアーズのETFを個人投資家に広めるために、医薬品業界における医師のような役割をファイナンシャルアドバイザーに担ってもらってはどうかと考えた。

 iシェアーズを始めたばかりのときはセミナーなどであえてiシェアーズの積極的な売り込みはせず、ETFの仕組みや資産配分などの教育を重視したとされる。より多くの人がETFに投資するように、クレインファス氏は同業他社に対しても協力的な姿勢で臨むように心掛けた。「われわれはいつも市場規模を拡大させることを念頭に置いていた。成長した市場で大きなパイをつかむことができればよいとの方針だ」という。
提供:モーニングスター社
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