「フィデリティ・USリート・ファンド」ポートフォリオマネジャー、米リート市場の動向を語る(1)
「フィデリティ・USリート・ファンドA(為替ヘッジあり)/B(為替ヘッジなし)」<2003120901><2003120902>(以下、当ファンド)のポートフォリオマネジャーであるスティーブ・ビューラー氏がこのたび来日、今後の米国リート(不動産投資信託)市場の動向や当ファンドの運用戦略などについて語った。同氏はフィデリティグループで19年の運用経験があり、リート運用に関しても豊富な経験を持っている。現在、不動産やリート関連のファンド7本(国内海外合計)、合計140億ドルを運用している。当ファンドは為替ヘッジを行うAコースと為替ヘッジを行わないBコースがあり、2011年3月末時点のAコース、Bコースの合計純資産額は7368億円と、国内のリートに投資するファンドとしては屈指の規模となっている。ただ、当ファンドは信託金限度額に接近したことを背景に、2011年2月に買い付け申し込み受け付けを一時停止している。
――当ファンドの強みを教えてください。
ビューラー氏「当ファンドの強みは大きく2点ある。1点目は、フィデリティグループがリート運用において長い歴史を持っていることだ。フィデリティグループでは、1986年11月17日に世界初のリートを投資対象とするファンドを立ち上げており、リート運用に関するノウハウが蓄積されている。2点目としては、充実した調査体制を挙げられる。まず、リート専任のアナリストがボストンをはじめ、トロント、東京、ロンドン、香港など世界各地に21名も在籍している。加えて、不動産に直接投資をしているチームや、CMBS(商業不動産担保証券)などといった不動産を担保とした債券を調査するチームもあり、それらのメンバーと情報を共有している。
また、株式を調査するアナリストからの情報も重要な情報源のひとつとなっている。なぜならば、リートが保有するテナントに出店しているのは小売や医療関係の企業であり、それら企業の動向は今後のテナントの稼働率などを予想するうえで重要な情報となるからだ。このような充実した調査体制が当ファンドの銘柄選択効果を高め、超過収益の獲得に寄与している」
――ボトムアップを重視した運用をされているようですが、銘柄選択の際にどのような点を重視しているのでしょうか。
ビューラー氏「銘柄選択の際にはファンダメンタルズとバリュエーションが大きなポイントとなる。リートを分析するうえで重要なファンダメンタルズのファクターとしては、まず、例えば立地といったリートが保有する資産の質が挙げられる。続いて、リートのバランスシート上の財務力、さらには資産配分に対するマネージメント力などを見ている。そして、結果としてどの程度のキャッシュフローを生み出すことができており、今後もそれを伸ばし続けることができるかどうかを見極めることが重要となる」
「一方のバリュエーションでは、『FFO倍率』(用語解説1)、『リート対象不動産時価に対するリート価格』(用語解説2)、『配当利回り』『EBITDA倍率』などの指標を見ている。それらの指標の絶対値や、過去の平均値と比べた現在の水準などからバリュエーションを評価している。また、超過収益の源泉の約60%から70%はボトムアップであるが、約30%から40%はトップダウンとなっている。もちろんアナリストから上がってくる個別銘柄に関する情報は重視するのだが、相場によってはその時々のテーマ性などに合わせてトップダウンで資産配分を決定することもある」
用語解説1「FFO倍率」=リートの価格÷FFO(リートの純利益に減価償却費と不動産の売買損益を加えて計算した、不動産の運用によって生み出されるキャッシュフローのうち、投資家に配分することが可能な金額)で算出。FFO倍率は、株式におけるPER(株価収益率)のような割安度をはかる指標として用いられる。
用語解説2「リート対象不動産時価に対するリート価格」=(リート価格÷リートが対象とする不動産時価)−1で算出。これがプラスの場合リートが不動産時価に対して割高な状態であり、マイナスとなるとリートが不動産時価に対して割安な状態となる。
提供:モーニングスター社
――当ファンドの強みを教えてください。
ビューラー氏「当ファンドの強みは大きく2点ある。1点目は、フィデリティグループがリート運用において長い歴史を持っていることだ。フィデリティグループでは、1986年11月17日に世界初のリートを投資対象とするファンドを立ち上げており、リート運用に関するノウハウが蓄積されている。2点目としては、充実した調査体制を挙げられる。まず、リート専任のアナリストがボストンをはじめ、トロント、東京、ロンドン、香港など世界各地に21名も在籍している。加えて、不動産に直接投資をしているチームや、CMBS(商業不動産担保証券)などといった不動産を担保とした債券を調査するチームもあり、それらのメンバーと情報を共有している。
また、株式を調査するアナリストからの情報も重要な情報源のひとつとなっている。なぜならば、リートが保有するテナントに出店しているのは小売や医療関係の企業であり、それら企業の動向は今後のテナントの稼働率などを予想するうえで重要な情報となるからだ。このような充実した調査体制が当ファンドの銘柄選択効果を高め、超過収益の獲得に寄与している」
――ボトムアップを重視した運用をされているようですが、銘柄選択の際にどのような点を重視しているのでしょうか。
ビューラー氏「銘柄選択の際にはファンダメンタルズとバリュエーションが大きなポイントとなる。リートを分析するうえで重要なファンダメンタルズのファクターとしては、まず、例えば立地といったリートが保有する資産の質が挙げられる。続いて、リートのバランスシート上の財務力、さらには資産配分に対するマネージメント力などを見ている。そして、結果としてどの程度のキャッシュフローを生み出すことができており、今後もそれを伸ばし続けることができるかどうかを見極めることが重要となる」
「一方のバリュエーションでは、『FFO倍率』(用語解説1)、『リート対象不動産時価に対するリート価格』(用語解説2)、『配当利回り』『EBITDA倍率』などの指標を見ている。それらの指標の絶対値や、過去の平均値と比べた現在の水準などからバリュエーションを評価している。また、超過収益の源泉の約60%から70%はボトムアップであるが、約30%から40%はトップダウンとなっている。もちろんアナリストから上がってくる個別銘柄に関する情報は重視するのだが、相場によってはその時々のテーマ性などに合わせてトップダウンで資産配分を決定することもある」
用語解説1「FFO倍率」=リートの価格÷FFO(リートの純利益に減価償却費と不動産の売買損益を加えて計算した、不動産の運用によって生み出されるキャッシュフローのうち、投資家に配分することが可能な金額)で算出。FFO倍率は、株式におけるPER(株価収益率)のような割安度をはかる指標として用いられる。
用語解説2「リート対象不動産時価に対するリート価格」=(リート価格÷リートが対象とする不動産時価)−1で算出。これがプラスの場合リートが不動産時価に対して割高な状態であり、マイナスとなるとリートが不動産時価に対して割安な状態となる。
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