「フィデリティ・USリート・ファンド」ポートフォリオマネジャー、米リート市場の動向を語る(2)

 ――米国リート市場は2009年3月を底に2年間で2倍超と大きく上昇していますが、米国リート市場の今後の見通しについて教えてください。
 ビューラー氏「米国リート市場を取り巻く環境は、3つの点で良好と考えている。1点目は、米国商業用不動産のファンダメンタルズが良好な点だ。米国商業用不動産の稼働率は2009年から回復基調にあり、リートが所有している物件からの収入も増加傾向にある。
 2点目としては、リートの資金調達環境が改善している点が挙げられる。リーマン・ショックが起きた2008年は、株式による資金調達額が約80億ドル、債券(社債)による調達額が約50億ドルにまで減少したが、2010年には、それぞれ約260億ドル、約220億ドルにまで回復している。さらに、リートのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保証料率などを見ると足元でリートの信用力は高まっているため、低いコストでの借り入れが可能となっている。最後は、追加物件取得による成長が期待できる点だ。2009年を底にリートの追加物件取得が増加しており、高い資金調達能力を背景に今後さらに増加する見込みだ」

 「一方、バリュエーションという点では、米国リート市場は過去2年間において確かに大きく上昇したため、やや割高となっている。リートの『FFO倍率』や『リート対象不動産時価に対するリート価格』などの指標は、足元で過去の平均を上回って推移している。しかし、これらの指標は過去の実績のみを反映しているものであり、将来の成長はまだ織り込んでいない。先ほど挙げたような良好な環境のもと、今後リートが生み出すキャッシュフローが成長することで、割高感は解消されていくものと考える」

 ――今後の運用戦略についてはどのようにお考えですか。
 ビューラー氏「株式市場の改善と景気回復がリート価格に織り込まれるなかで、今後は銘柄選択がより重要になると考えている。(1)バランスシート上の財務能力が高いこと(2)資本調達環境が良好であること(3)経営陣が環境変化などに機敏に対応し、良質な物件取得に積極的であること、などに注目し、追加物件取得による成長が見込まれる銘柄に引き続き投資をしていく。逆に、追加物件取得の機会をすでに株価に織り込んでいると思われる一部の銘柄については、利益確定をすることで、超過収益の獲得を目指す」
提供:モーニングスター社
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