「日本株は買い」10兆円運用の米ファンドマネジャーが明かす3つの理由

 「日本株には良いところがたくさんある」――。6月に米モーニングスターが米国で開催した投資カンファレンスで、運用残高10兆円超(14年3月末時点)のブラックロックの旗艦ファンドを運用するデニス・スタットマン氏はこう指摘し、日本株への強気のスタンスを示した。同氏は、日本株を「買い」と判断する理由として「割安感の強さ」「企業業績の改善」「積極的な株主還元」の3点を挙げた。

 スタットマン氏は、米国株に比べて日本株は「非常に割安」との見方を示した。足元(カンファレンス開催当時)のPERはS&P500が16.3倍に対して、TOPIXは13.6倍と割安だとして、「日本株が米国株よりも低い水準のPER(株価収益率)まで売られることはまれだ」とコメント。また、PBR(株価純資産倍率)で見てもTOPIXは1.2倍と、S&P500の2.7倍より割安だとした。

 同氏と2人のファンドマネジャーはチームとして、世界中の資産に分散投資する「グローバル・アロケーション戦略」を担当している。同戦略は、市場環境に応じて資産配分比率を機動的に変更する点が特徴であり、米国株の高値警戒感から現金比率は14年3月末時点で2割程度と、高水準で維持する。こうしたなか、スタットマン氏がインフレヘッジとして注目するのが日本株だという。割安さに加えて、「日本企業が株主価値を重視し始めたことも好感できる。収益を上げるなかで、増配や自社株買いを実施している」と述べ、業績改善と株主還元も評価。さらに、「日銀の力強い量的緩和策や安倍政権の改革も期待ができる」と話し、政策面での追い風もあると語った。

 日本株への楽観的な見方はポートフォリオにも反映されている。「グローバル・アロケーション戦略」で運用される米国籍ファンド「ブラックロック・グローバル・アロケーション」の日本株の組み入れ比率は14年4月時点で13.5%と、13年1月時点の11.8%から引き上げられており、同ファンドが属する米モーニングスターのカテゴリー「ワールドアロケーション」の平均7.9%を大きく上回る。同ファンドの運用力は高く評価され、米モーニングスターの5つの評価軸(運用プロセス、運用成績、運用・調査体制、運用会社、コスト)に基づく定性評価で5段階中最も高い「Gold」を獲得している。

 日本では、「グローバル・アロケーション戦略」で運用される「日興ブラックロック・ハイ・クオリティ・アロケーション・ファンド」(為替ヘッジなしと限定為替ヘッジの2コース)が6月27日に設定され、売れ行きは好調だ。特に、為替ヘッジなしコースでは、6月の純資金流入額(モーニングスター推計値)が534億円となり、国内公募追加型株式投資信託(DC、SMA、ETFなど除く)の全ファンド中で第2位となった。バランス型ファンドはリーマン・ショック後の急落で分散投資の効果が十分に発揮されなかったことなどから、資金が集まりにくい状況が続いたが、当ファンドのように、機動的な資産配分と銘柄選択により運用を行うファンドの登場で、そうした流れが変わるか注目される。
提供:モーニングスター社
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