日本で人気上昇中のバンクローン、米国ではピークアウト懸念も

 バンクローンを主要投資とするファンド(以下、バンクローンファンド)が人気を集めている。今月だけでも7本が新規設定され、今月中にも70本を超える見通し。2014年だけでも約1700億円の資金が流入しており、直近の純資産額も約3900億円と、急拡大している。

 そもそもバンクローンとは、企業などが銀行から受けるローン(融資)のことで、米国では、一般的な債券と同様に、流通市場で機関投資家を中心に売買されている。市場金利が上昇する局面ではクーポンもそれに合わせて上昇するため、市場金利上昇に伴う値下がりは一般の債券と比べて小さい傾向がある。そのため、金利上昇リスクに対して有効な投資先とされる。

 米国でのバンクローンファンドの歴史は古く、現存するファンドで最古のものは約25年の歴史を有する。ただし、米国でも人気を集めはじめたのは2010年以降で、特に2013年に量的緩和が縮小するとの見通しが強まると、将来的な金利上昇懸念に備える投資先の一つとして注目され、資金流入が加速。米モーニングスターカテゴリー「バンクローン」には2014年3月末までの過去1年間で約541億ドルの資金が流入し、同月末時点の純資産額は1450億ドルと、1年前との比較では1.7倍、5年前との比較では8.7倍に拡大していた。

 しかし、米国ではバンクローンファンドの人気にピークアウトの懸念も出始めている。「バンクローン」に属するファンドは4月に月間で流出に転じた以降、6月まで3カ月連続の流出となっており、累積では約60億ドルが流出した。今年6月にECBがマイナス金利を導入したほか、FRB(米連邦準備制度理事会)が金利引き上げを先伸ばすとの観測から金利上昇の懸念が後退。バンクローンの基準金利とされることが多いLIBORも低水準にとどまる。世界的な金利上昇懸念の後退とともに、バンクローンファンドからは資金が流出する一方で、債券ファンドへ資金が流入している。こうした動きがここ数カ月の一過性のものなのか、それとも本格的な利益確定売りへと発展するのか注目される。
提供:モーニングスター社
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