米国で人気の「マルチオルタナティブ」―5年で残高5倍に急増
米投信市場で複数のヘッジファンド戦略を組み合わせた「マルチオルタナティブ」ファンドに安定的に資金が流入している。米国籍オープンエンドファンド(ETF含む、MMF、ファンド・オブ・ファンズ除く)のうち、米モーニングスターカテゴリー「マルチオルタナティブ」に属するファンドの資金流入は15年2月までの過去60カ月中、59カ月で流入超過となった。純資産残高も15年2月末時点で417億ドル(約5兆円)と、過去5年で約5倍に急増しており、米投信市場におけるマルチオルタナティブファンドへの高い需要を反映している。人気の背景には、世界的に低金利状態が続くなか、リスクを低く抑えながら高いリターンを投資家が求めていることがある。
ヘッジファンドは、富裕層や機関投資家向けのリスク回避(ヘッジ)の手段として運用されるのが一般的だが、近年では個人投資家もファンドを通じて購入することが可能になった。マルチオルタナティブファンドは株式の「買い」と「売り」を組み合わせるロング・ショート戦略や先物取引を駆使するマネージド・フューチャーズ戦略など複数の運用手法を用いる。ヘッジファンドは相場の上昇・下落いずれの局面でもプラスのリターンを目指す絶対収益型の運用が特徴であり、年内に米利上げが視野に入るなか、相場変動に対応できることを“ウリ”にするファンドも多い。
もっとも、マルチオルタナティブファンドの純資産額上位10本のうち、66億ドルでトップの「ジョン・ハンコック・グローバル・アブソリュート・リターン・ストラテジー・ファンド」を含めた8本はリーマン・ショック後に設定されており、市場環境の急激な変化に十分に対応できるかは不透明だ。
また、リーマン・ショックがあった08年に米モーニングスターカテゴリー「マネージド・フューチャーズ」に属するファンドのリターン平均値が8.33%のプラスリターンとなったのに対して、「マルチオルタナティブ」は22.14%のマイナスリターンと、大幅に下落している。必ずしも複数のヘッジファンド戦略を組み合わせることでリスク軽減に成功しているとは言えない点には注意が必要だろう。
提供:モーニングスター社
ヘッジファンドは、富裕層や機関投資家向けのリスク回避(ヘッジ)の手段として運用されるのが一般的だが、近年では個人投資家もファンドを通じて購入することが可能になった。マルチオルタナティブファンドは株式の「買い」と「売り」を組み合わせるロング・ショート戦略や先物取引を駆使するマネージド・フューチャーズ戦略など複数の運用手法を用いる。ヘッジファンドは相場の上昇・下落いずれの局面でもプラスのリターンを目指す絶対収益型の運用が特徴であり、年内に米利上げが視野に入るなか、相場変動に対応できることを“ウリ”にするファンドも多い。
もっとも、マルチオルタナティブファンドの純資産額上位10本のうち、66億ドルでトップの「ジョン・ハンコック・グローバル・アブソリュート・リターン・ストラテジー・ファンド」を含めた8本はリーマン・ショック後に設定されており、市場環境の急激な変化に十分に対応できるかは不透明だ。
また、リーマン・ショックがあった08年に米モーニングスターカテゴリー「マネージド・フューチャーズ」に属するファンドのリターン平均値が8.33%のプラスリターンとなったのに対して、「マルチオルタナティブ」は22.14%のマイナスリターンと、大幅に下落している。必ずしも複数のヘッジファンド戦略を組み合わせることでリスク軽減に成功しているとは言えない点には注意が必要だろう。
提供:モーニングスター社