モーニングスター年末特集=新たな投資の選択肢の一つに! 16年注目のストラテジック・ベータ型ファンド
<国内の代表格は、JPX日経インデックス400>
近年、徐々に脚光を浴び始めた『ストラテジック・ベータ』(*1)に16年は注目したい。『ストラテジック・ベータ』とは、時価総額加重平均型のTОPIX(東証株価指数)やS&P500種などのような従来の株価指数とは異なり、株主資本や利益、配当利回りなどに着目した新しい運用戦略やルールに基づいて算出する指数のことを言う。また、その指数に連動することを目指すファンドは、ストラテジック・ベータ型ファンドと呼ばれる。ストラテジック・ベータ型ファンドは、指数に連動した投資成果を目指すパッシブ運用に似ているものの、『ストラテジック・ベータ』がもともと従来の株価指数を上回る成績を目指していることから、指数を超える投資成果を目指すアクティブ運用の様相を合わせ持っていることが特徴だ。
国内での『ストラテジック・ベータ』の代表格は、14年1月から算出が始まり、16年で3年目に突入する“JPX日経インデックス400”(以下、JPX400)で、自己資本利益率(ROE)の高さなどに着目した400銘柄で構成される指数だ。JPX400関連ファンド(*2)は、15年11月末時点で一般的なファンドが24本、ETFが15本の合計39本となり、23カ月連続の流入超過が続いている。14年にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がJPX400への投資を行っていることも影響しているだろうが、国内の個人投資家にも徐々に浸透してきたとみることができるだろう。
*1 米国モーニングスターでの呼称、一般的には『スマート・ベータ』とも呼ばれる。
*2 国内公募株式型投信(確定拠出年金、ファンドラップ向け除く、ETF含む)の中で、名称に“JPX”を含むファンド
<過去10年間で8倍まで純資産総額拡大、米国籍ストラテジック・ベータ型ファンド! >
JPX400が浸透してきたとはいえ、まだまだ国内の個人投資家の間では馴染みが薄い『ストラテジック・ベータ』だが、米国ではプロの投資家が年金運用などに活用し始めただけでなく、個人投資家の資産運用の選択肢の一つとして定着しつつある。『ストラテジック・ベータ』を活用する米国籍オープンエンドファンド(*3)の純資産総額をみると、15年11月末時点で5749億ドル(約68兆円)と、過去10年間で約8倍に拡大している。その内訳は、オープンエンドファンドが全体の約20%である一方で、ETFが約80%と大半を占める。ETFに限ってみると、純資産総額が過去10年間で約10倍に増加しており、米国でのストラテジック・ベータ型ファンドの主力となっている。
*3 米国籍オープンエンドファンド(MMF、ファンドオブファンズ除く、ETF含む)、以下当レポート内のコメント、図表でも同じ
<国内と米国でのラインナップの違いとは・・・>
米国でのストラテジック・ベータ型ファンド拡大の背景は、豊富な本数と多種多様な商品設計にある。この1年間における本数を比較すると、14年11月末時点で452本だったところ、15年11月末時点では546本にまで増加している。また、同月末時点での純資産総額が100億ドルを超える米国籍ストラテジック・ベータ型ファンドは13本あり、投資対象は米国のグロース、バリュー、高配当株のほか、為替ヘッジ付きの欧州株や日本株など選択肢が幅広い。
15年は国内でも、JPX400以外の『ストラテジック・ベータ』を活用するファンドが登場した。例えば、三菱UFJ国際投信が運用するe−MAXISシリーズに「eMAXIS JAPAN クオリティ150インデックス」<2015110601>の新規設定や、ブラックロックが運用するETFブランドiシェアーズシリーズに「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」<1478.T>、「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF」<1477.T>の東証上場などである。しかしながら、まだまだ選択肢は少ない状態だ。16年には、『ストラテジック・ベータ』とそれを活用するファンドの個人投資家への認知度を高め、さらに商品拡充による選択肢の拡大を期待したい。
提供:モーニングスター社
近年、徐々に脚光を浴び始めた『ストラテジック・ベータ』(*1)に16年は注目したい。『ストラテジック・ベータ』とは、時価総額加重平均型のTОPIX(東証株価指数)やS&P500種などのような従来の株価指数とは異なり、株主資本や利益、配当利回りなどに着目した新しい運用戦略やルールに基づいて算出する指数のことを言う。また、その指数に連動することを目指すファンドは、ストラテジック・ベータ型ファンドと呼ばれる。ストラテジック・ベータ型ファンドは、指数に連動した投資成果を目指すパッシブ運用に似ているものの、『ストラテジック・ベータ』がもともと従来の株価指数を上回る成績を目指していることから、指数を超える投資成果を目指すアクティブ運用の様相を合わせ持っていることが特徴だ。
国内での『ストラテジック・ベータ』の代表格は、14年1月から算出が始まり、16年で3年目に突入する“JPX日経インデックス400”(以下、JPX400)で、自己資本利益率(ROE)の高さなどに着目した400銘柄で構成される指数だ。JPX400関連ファンド(*2)は、15年11月末時点で一般的なファンドが24本、ETFが15本の合計39本となり、23カ月連続の流入超過が続いている。14年にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がJPX400への投資を行っていることも影響しているだろうが、国内の個人投資家にも徐々に浸透してきたとみることができるだろう。
*1 米国モーニングスターでの呼称、一般的には『スマート・ベータ』とも呼ばれる。
*2 国内公募株式型投信(確定拠出年金、ファンドラップ向け除く、ETF含む)の中で、名称に“JPX”を含むファンド
<過去10年間で8倍まで純資産総額拡大、米国籍ストラテジック・ベータ型ファンド! >
JPX400が浸透してきたとはいえ、まだまだ国内の個人投資家の間では馴染みが薄い『ストラテジック・ベータ』だが、米国ではプロの投資家が年金運用などに活用し始めただけでなく、個人投資家の資産運用の選択肢の一つとして定着しつつある。『ストラテジック・ベータ』を活用する米国籍オープンエンドファンド(*3)の純資産総額をみると、15年11月末時点で5749億ドル(約68兆円)と、過去10年間で約8倍に拡大している。その内訳は、オープンエンドファンドが全体の約20%である一方で、ETFが約80%と大半を占める。ETFに限ってみると、純資産総額が過去10年間で約10倍に増加しており、米国でのストラテジック・ベータ型ファンドの主力となっている。
*3 米国籍オープンエンドファンド(MMF、ファンドオブファンズ除く、ETF含む)、以下当レポート内のコメント、図表でも同じ
<国内と米国でのラインナップの違いとは・・・>
米国でのストラテジック・ベータ型ファンド拡大の背景は、豊富な本数と多種多様な商品設計にある。この1年間における本数を比較すると、14年11月末時点で452本だったところ、15年11月末時点では546本にまで増加している。また、同月末時点での純資産総額が100億ドルを超える米国籍ストラテジック・ベータ型ファンドは13本あり、投資対象は米国のグロース、バリュー、高配当株のほか、為替ヘッジ付きの欧州株や日本株など選択肢が幅広い。
15年は国内でも、JPX400以外の『ストラテジック・ベータ』を活用するファンドが登場した。例えば、三菱UFJ国際投信が運用するe−MAXISシリーズに「eMAXIS JAPAN クオリティ150インデックス」<2015110601>の新規設定や、ブラックロックが運用するETFブランドiシェアーズシリーズに「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」<1478.T>、「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF」<1477.T>の東証上場などである。しかしながら、まだまだ選択肢は少ない状態だ。16年には、『ストラテジック・ベータ』とそれを活用するファンドの個人投資家への認知度を高め、さらに商品拡充による選択肢の拡大を期待したい。
提供:モーニングスター社