モーニングスター年末特集=15年月間売買代金ランキング1位のブル・ベア投信、新規設定相次ぐ(2)
<あくまで短期決戦型! ボックス相場では思わぬ損失も>
2016年も引き続き注目したいブル・ベア型投信であるが、取引にあたっては1点必ず覚えておいてほしい留意点がある。それは、長期で保有すると、必ずしも2倍や3倍の変動率になるとは限らないことだ。特に株価が一定の範囲内でもみあうようなボックス相場では思わぬ損失を抱えてしまう要因となる。
仮に日経平均を100としてスタートし、1日毎に100と110の上下変動を繰り返した場合、12日間でブル(2倍)型の投資信託が理論上どのように値動きするか考えてみよう。
1日目にブル型投信を買った投資家は、「100で買ったのだから、ずっと持っていても日経平均が110に上がった時には2倍の上昇率を取るブル型投信は120になるはず」と考えるかもしれない。しかし、保有をし始めて12日目には日経平均が110であるのに対しブル(2倍)型は109.4と日経平均の値を下回ってしまう。これでは「どこが2倍の上昇率だ」と言いたくなるかもしれない。確かに1日目に100で買った投資家にとって、12日目のブル・ベア投信の終値は109.4と2倍の上昇率とは程遠い。しかし、11日目の終値91.1に対しては日経平均が100から110へと10%上昇したことに対しブル型投信は91.1から109.4と20%上昇しており、きれいに2倍の上昇率となっていることが分かる。ポイントはあくまで“前日比”に対する連動であるという点だ。
では、実際の相場ではどう動いたか。2015年内において日経平均の推移をみると3つの局面を見つけることができる。まず、1−5月は日経平均が大きく上昇した上昇相場、6−7月はもみあいに終始したボックス相場、8−9月は大きく下落した下落相場である。この3局面において、日経平均の変動率に対し2倍の変動率を目指すブル型の値動きを各月の終値ベースで比較した。上昇相場では日経平均の17.84%に対しブル型は38.28%、下落相場では同マイナス15.53%に対し同マイナス29.44%とおよそ2倍の変動率となった。しかし、ボックス相場では日経平均が0.11%上昇したにもかかわらず、日経平均(2倍)ブル型は0.6%下落しており、思わぬ損失を生む結果となった。
銘柄数も増え、今後も投資家の残高および売買回数の増加が見込まれるブル・ベア型投信であるが、このようにあくまで「前日比」に対する変動率である旨を覚えておいてほしい。そして、短期決戦型の投機性の高い商品であることを理解したうえで利用すべきである。
提供:モーニングスター社
2016年も引き続き注目したいブル・ベア型投信であるが、取引にあたっては1点必ず覚えておいてほしい留意点がある。それは、長期で保有すると、必ずしも2倍や3倍の変動率になるとは限らないことだ。特に株価が一定の範囲内でもみあうようなボックス相場では思わぬ損失を抱えてしまう要因となる。
仮に日経平均を100としてスタートし、1日毎に100と110の上下変動を繰り返した場合、12日間でブル(2倍)型の投資信託が理論上どのように値動きするか考えてみよう。
1日目にブル型投信を買った投資家は、「100で買ったのだから、ずっと持っていても日経平均が110に上がった時には2倍の上昇率を取るブル型投信は120になるはず」と考えるかもしれない。しかし、保有をし始めて12日目には日経平均が110であるのに対しブル(2倍)型は109.4と日経平均の値を下回ってしまう。これでは「どこが2倍の上昇率だ」と言いたくなるかもしれない。確かに1日目に100で買った投資家にとって、12日目のブル・ベア投信の終値は109.4と2倍の上昇率とは程遠い。しかし、11日目の終値91.1に対しては日経平均が100から110へと10%上昇したことに対しブル型投信は91.1から109.4と20%上昇しており、きれいに2倍の上昇率となっていることが分かる。ポイントはあくまで“前日比”に対する連動であるという点だ。
では、実際の相場ではどう動いたか。2015年内において日経平均の推移をみると3つの局面を見つけることができる。まず、1−5月は日経平均が大きく上昇した上昇相場、6−7月はもみあいに終始したボックス相場、8−9月は大きく下落した下落相場である。この3局面において、日経平均の変動率に対し2倍の変動率を目指すブル型の値動きを各月の終値ベースで比較した。上昇相場では日経平均の17.84%に対しブル型は38.28%、下落相場では同マイナス15.53%に対し同マイナス29.44%とおよそ2倍の変動率となった。しかし、ボックス相場では日経平均が0.11%上昇したにもかかわらず、日経平均(2倍)ブル型は0.6%下落しており、思わぬ損失を生む結果となった。
銘柄数も増え、今後も投資家の残高および売買回数の増加が見込まれるブル・ベア型投信であるが、このようにあくまで「前日比」に対する変動率である旨を覚えておいてほしい。そして、短期決戦型の投機性の高い商品であることを理解したうえで利用すべきである。
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