マネックス・セゾン・バンガード、フィンテックの個人向け投資一任運用サービスで提携引き合い活発(上)

 マネックスグループ、クレディセゾン、そして、米国のザ・バンガード・グループ・インクの出資を受けて設立された資産運用会社であるマネックス・セゾン・バンガード投資顧問(本社:東京都千代田区)が、今春のサービスインに向けてサービス開発の最終段階を迎えている。日本でも「フィンテック(金融のIT化)」という言葉が広がり始め、同社のサービス内容には地方銀行などからの関心が強いという。同社代表取締役社長の大原啓一氏に、今後の展望について聞いた。

 ――最先端のIT技術を用いてオンラインで資産運用サービスを提供していくということですが、欧米では「ロボ・アドバイザー」などのテクノロジーを生かしたサービスが急速に普及していますが、日本ではどの程度のスピード感で受け入れられ、定着していくとお考えですか?

 私は、この会社を立ち上げる前、日系資産運用会社のロンドン拠点において約8年にわたって機関投資家および個人投資家向けの資産運用業務に携わっていました。そこで、近年のいわゆるフィンテックの発展や、それによる金融サービスの大きな変化を目の当たりにしてきました。個人向けの投資一任サービスに特化した会社の設立をめざしたきっかけは、金融および情報技術の発展やその融合による金融サービスの新たな展開に大きな可能性を感じたところにあります。

 私は、日本での個人向け投資一任サービスの潜在需要は大きく、今後数年で急速に発展していくと考えています。

 ひとつには、日本の経済・社会環境面での追い風があること。すなわち、長らく続いたデフレの時代が終わりインフレに備える必要があると感じる人が増えています。また、高齢世帯から現役世帯へと大きな資産移管が行われる相続の時代を迎えていることもあり、資産形成・運用に対する意識が高まりつつあると考えています。

 そして、金融および情報技術の進化ももうひとつの背景として挙げられます。金融技術の進化によって、あらゆる金融サービスが、小口かつ低コストで提供することが可能となってきています。また、情報技術の進歩で膨大な情報をスムーズ、かつ、低価格で処理することが可能となっています。こうした背景を受け、従来は機関投資家や一部の富裕層にしか提供することができなかった投資一任運用サービスについても、一般の個人投資家のお客さまにも提供することができるようになりました。

 さらに、日本の特殊事情として、代表的な資産運用商品である公募投資信託の数が5,000本を超えるまで増えてしまっており、一般の個人投資家のお客さまは何を選択して良いのかがわからないという状況になってしまっています。自分にぴったり合った資産運用サービスを選びたいというニーズはかつてなく高まっていると思います。

 ――日本でも「ロボ・アドバイザー」を活用したサービスが出始めています。御社のサービスは、一言でいうと「ロボ・アドバイザーを活用したラップ口座の提供」ということができますが、他社との差別化ポイントは?

 欧米では「ロボ・アドバイザー」というサービスカテゴリーが定着しつつあり、当社がめざすサービスもそのサービスの提供・運用にロボ(情報技術を活用した自動化ツール)を活用するという意味で、「ロボ・アドバイザー」のカテゴリーに入ると思います。ただし、そのサービス内容は、軸足をどこに置くかによって特徴が表れると考えています。

 欧米で広く普及し、日本でも導入され始めている「ロボ・アドバイザー」サービスは、お客さまに5−10程度の質問をし、その回答内容からリスク許容度を測り、そのリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを提案するという点で、資産運用のPDCA(Plan−Do−Check−Action)サイクルのうちD(実行)の部分にフォーカスしたものが多いように感じています。

 一方、当社は、資産運用のPDCA(Plan−Do−Check−Action)サイクルのP(Plan)である「ゴール設定」と「計画策定」に特にフォーカスしながら、PDCAサイクルをトータルで提供するサービスを提供したいと考えています。お客さまの資産形成・運用にとって最も重要なのは、それぞれの状況や目標に応じた資産形成・運用計画を策定することであり、ポートフォリオはその計画を達成するために最適なものであるべきであるという考えが背景にあります。

 (下)につづく
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