<J−REIT>内部成長力で格差が出る局面、配当成長率で銘柄を厳しく選別=みずほ投信投資顧問(上)
「みずほ J−REITファンド」<2003121803>(★★★★、評価基準日=2月29日)は、過去10年(年率)、5年(年率)、3年(年率)、1年のいずれの期間でも、カテゴリー平均リターンを上回る成績で、リスクは抑えた運用を行うという優れた運用成績を残している。みずほ投信投資顧問 株式運用部 REITチーム チーフファンドマネジャーの伊藤昌哉氏に、ファンドの特徴や当面の運用方針について聞いた。
――マイナス金利の影響で、国債利回りがマイナス圏に沈み、円建ての利回り商品を求める投資家がJ−REITの配当利回りに注目しています。現在の配当利回りに着目したJ−REIT人気をどう感じますか?
J−REITの平均配当利回りは2月末で3.2%ですが、国債などの表面利率が確定していているものと異なり、「J−REITの配当は動く」ため、国債利回りとJ−REITの配当利回りは同列では論じられません。まず、「国債とJ−REITではリスクの性格が異なる」ということへの理解が必要です。
その理解の前提でいうと、J−REIT市場の現状については、REIT各社の業績は増益基調にあり、配当金額が増加する方向にあります。引き続き、魅力的な資産クラスであると思います。
たとえば、オフィスの空室率は都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)で、4%そこそこの水準に低下しています。一般に空室率が5%を下回ると「貸し手市場」となり、賃料交渉について貸し手側が優位になるといわれます。オフィスの賃貸契約は2年更新が中心になっていますので、今後は契約更新時における賃料の増額交渉なども進み、トップライン(売上高)を引き上げる効果が出てくると考えられます。
一方、国債利回りがマイナス圏に沈みこむような低金利のもとでは、J−REIT各社の借り入れ費用の低減につながります。これが収益率を引き上げる効果として効いてくると思います。
したがって、現在のJ−REITは、空室率の低下などによるトップラインの引き上げ期待に加え、経費の削減という2重のポジティブな材料があります。
一方で、市場の規模が11兆円余りと小さな市場であるため、価格変動が大きく、かつ、一方向に動きやすいという傾向があります。市場が小さいために、新規にJ−REITが上場したり、大きな増資などがあると、その関係で市場全体の値動きが荒くなる、もしくは、価格変動が激しくなる傾向もあります。
また、現在の売買市場参加者の50−60%は海外投資家なのですが、世界経済の環境によってリスクオフの状態になると、売りが集中して大きく下落することもあります。昨年の市場では年初に東証REIT指数が2000ポイント程度だったものが、秋には1500ポイントまで下落しました。
――「みずほ J−REITファンド」は、2003年12月の設定で、設定来(年率)、過去10年(年率)、5年(年率)、3年(年率)、1年、どの期間をとってもカテゴリー平均を上回るトータルリターンを記録し、リスクもカテゴリー平均を下回るなど大変優れた運用成績を残しています。どのような運用をしているのですか?
緻密なボトムアップで個別銘柄の調査を地道に続け、自信を持って投資できる銘柄を中心に投資してきた結果です。過去のいずれの時点においても、何かの銘柄で大きな当たりがでたということはなく、個別銘柄での小さな超過収益をコツコツと積み上げたことで、結果的にカテゴリー平均を上回る成績につながっています。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社
――マイナス金利の影響で、国債利回りがマイナス圏に沈み、円建ての利回り商品を求める投資家がJ−REITの配当利回りに注目しています。現在の配当利回りに着目したJ−REIT人気をどう感じますか?
J−REITの平均配当利回りは2月末で3.2%ですが、国債などの表面利率が確定していているものと異なり、「J−REITの配当は動く」ため、国債利回りとJ−REITの配当利回りは同列では論じられません。まず、「国債とJ−REITではリスクの性格が異なる」ということへの理解が必要です。
その理解の前提でいうと、J−REIT市場の現状については、REIT各社の業績は増益基調にあり、配当金額が増加する方向にあります。引き続き、魅力的な資産クラスであると思います。
たとえば、オフィスの空室率は都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)で、4%そこそこの水準に低下しています。一般に空室率が5%を下回ると「貸し手市場」となり、賃料交渉について貸し手側が優位になるといわれます。オフィスの賃貸契約は2年更新が中心になっていますので、今後は契約更新時における賃料の増額交渉なども進み、トップライン(売上高)を引き上げる効果が出てくると考えられます。
一方、国債利回りがマイナス圏に沈みこむような低金利のもとでは、J−REIT各社の借り入れ費用の低減につながります。これが収益率を引き上げる効果として効いてくると思います。
したがって、現在のJ−REITは、空室率の低下などによるトップラインの引き上げ期待に加え、経費の削減という2重のポジティブな材料があります。
一方で、市場の規模が11兆円余りと小さな市場であるため、価格変動が大きく、かつ、一方向に動きやすいという傾向があります。市場が小さいために、新規にJ−REITが上場したり、大きな増資などがあると、その関係で市場全体の値動きが荒くなる、もしくは、価格変動が激しくなる傾向もあります。
また、現在の売買市場参加者の50−60%は海外投資家なのですが、世界経済の環境によってリスクオフの状態になると、売りが集中して大きく下落することもあります。昨年の市場では年初に東証REIT指数が2000ポイント程度だったものが、秋には1500ポイントまで下落しました。
――「みずほ J−REITファンド」は、2003年12月の設定で、設定来(年率)、過去10年(年率)、5年(年率)、3年(年率)、1年、どの期間をとってもカテゴリー平均を上回るトータルリターンを記録し、リスクもカテゴリー平均を下回るなど大変優れた運用成績を残しています。どのような運用をしているのですか?
緻密なボトムアップで個別銘柄の調査を地道に続け、自信を持って投資できる銘柄を中心に投資してきた結果です。過去のいずれの時点においても、何かの銘柄で大きな当たりがでたということはなく、個別銘柄での小さな超過収益をコツコツと積み上げたことで、結果的にカテゴリー平均を上回る成績につながっています。
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