過去5年の大幅な価格低下が反転、コモディティーに再評価の機運高まる
2016年は「コモディティー」が再び脚光を浴びる1年になるかもしれない。
年初からの原油価格の急落によって世界の株式市場が動揺し、その後は原油価格の動向に世界の株価が連れて動く展開になった。原油価格は2月初めをボトムに上昇傾向を強め、リスクオフ局面では「安全資産」として評価が高まる金(ゴールド)の値上がりも目立っている。リーマン・ショック後に続いた世界的な金融緩和は世界の債券、株式、不動産などの価格を底上げしたが、コモディティーは2011年をピークに価格低迷が続いてきた。そのコモディティーが約5年ぶりに反転の期待を強めている。
シュローダー・インベストメント・マネージメントのコモディティ プロダクト・ディレクターのクリストファー・ワイク氏は「過去の高値から大きく値下がりしたコモディティーは見直しの好機だ」と説いている。ワイク氏がコモディティー復調を説いているのは、価格水準のみならず、投資家の資金の流れに変化が起きていることを捉えての提言だという。「世界の投資家は、ここ数年来、コモディティーに対してはアンダーウエートの姿勢を明確にし、資金フローも純流出だった。しかし、2016年3月にアンダーウエートの比率が急速に縮小し、資金フローの純流出額も大きく減少している。投資家心理が変化する兆しがある」と語る。
そもそもコモディティーがリーマン・ショック後に大きく値上がりしたのは、世界的な金融緩和でインフレリスクが高まったことがおもなきっかけだった。コモディティー価格は、インフレ率が高まる局面では、株式や債券より大きく値上がりする傾向にある。「コモディティーへの投資目的の第一はインフレのヘッジ。そして、現物商品は地政学リスクが高まった時の資産の避難先としても位置づけられる。現在は、世界的な金融緩和、地政学リスクが存在し続けていることも変わりがない。不確実性が一層高まるなか、コモディティーをポートフォリオに加えることはリスク分散として有効な手段の一つと考える」(ワイク氏)と、コモディティーへの注目を促す。
一方、コモディティー市場の需要と供給の関係からも、コモディティー価格の見直しは進むと考えられている。特に、原油を中心にしたエネルギーは、需要と供給のバランスが崩れたところへ、中国経済の減速など需要の後退が懸念され、大きな価格調整になった。しかし、中国をしのぐ勢いでインドの需要が増加し、中国においても自家用車の普及によってガソリン需要は拡大の一途など、新興国の需要は拡大を続けており、今後も堅調な世界のエネルギー需要が予想される。
また、エネルギーの供給サイドでは、OPEC(石油輸出国機構)非加盟産油国ではすでに生産調整は始まっており、世界の供給量は減っている。「これまで原油価格の下落局面は、下落開始から400日以内にボトムをつけた。今回は1月下旬ですでに400日以上となり、ここを転換点に今後は上昇基調をたどるだろう」(ワイク氏)との見方だ。そのほか、金(ゴールド)がリスクオフ時の待避先として一定の需要を持ち続け、農産物の一部にも需給ギャップが注目されるという。
日本では日銀のマイナス金利政策の影響で、国内債券利回りがマイナス圏に沈み込むというかつて経験したことがない金利水準(債券価格は高値)にある。「低金利の継続で大きく値上がりした債券、また、株式は価格が高くなり過ぎて買いにくくなっているが、コモディティーは大幅に価格が下落したままだ。ポートフォリオを多様化するという観点でも、一部の資産をコモディティーに振り向ける意味はある」(ワイク氏)としている。
シュローダー・グループは、コモディティー市場で約20億ドル(約2200億円)を運用している。50種類以上のコモディティーを対象に、それぞれ需要と供給などのファンダメンタルズ分析に基づき、エネルギー、金属、農産物の分類に分散投資を行うアクティブ運用を行っている。日本で取り扱いのあるコモディティー運用商品はインデックスファンドが中心で、原油価格、金価格など単品のコモディティーを投資対象にした商品が一般的。シュローダーが行っているような複数のコモディティーを組み合わせてアクィブ運用を行うコモディティー・ファンドはめずらしい。
日本では「シュローダー・コモディティー・ファンド」<2008110404>、「日興・シュローダー・コモディティー・ファンド(Aコース為替ヘッジなし<2008030701>/Bコース為替ヘッジあり<2008030702>)」の3タイプを提供している。
提供:モーニングスター社
年初からの原油価格の急落によって世界の株式市場が動揺し、その後は原油価格の動向に世界の株価が連れて動く展開になった。原油価格は2月初めをボトムに上昇傾向を強め、リスクオフ局面では「安全資産」として評価が高まる金(ゴールド)の値上がりも目立っている。リーマン・ショック後に続いた世界的な金融緩和は世界の債券、株式、不動産などの価格を底上げしたが、コモディティーは2011年をピークに価格低迷が続いてきた。そのコモディティーが約5年ぶりに反転の期待を強めている。
シュローダー・インベストメント・マネージメントのコモディティ プロダクト・ディレクターのクリストファー・ワイク氏は「過去の高値から大きく値下がりしたコモディティーは見直しの好機だ」と説いている。ワイク氏がコモディティー復調を説いているのは、価格水準のみならず、投資家の資金の流れに変化が起きていることを捉えての提言だという。「世界の投資家は、ここ数年来、コモディティーに対してはアンダーウエートの姿勢を明確にし、資金フローも純流出だった。しかし、2016年3月にアンダーウエートの比率が急速に縮小し、資金フローの純流出額も大きく減少している。投資家心理が変化する兆しがある」と語る。
そもそもコモディティーがリーマン・ショック後に大きく値上がりしたのは、世界的な金融緩和でインフレリスクが高まったことがおもなきっかけだった。コモディティー価格は、インフレ率が高まる局面では、株式や債券より大きく値上がりする傾向にある。「コモディティーへの投資目的の第一はインフレのヘッジ。そして、現物商品は地政学リスクが高まった時の資産の避難先としても位置づけられる。現在は、世界的な金融緩和、地政学リスクが存在し続けていることも変わりがない。不確実性が一層高まるなか、コモディティーをポートフォリオに加えることはリスク分散として有効な手段の一つと考える」(ワイク氏)と、コモディティーへの注目を促す。
一方、コモディティー市場の需要と供給の関係からも、コモディティー価格の見直しは進むと考えられている。特に、原油を中心にしたエネルギーは、需要と供給のバランスが崩れたところへ、中国経済の減速など需要の後退が懸念され、大きな価格調整になった。しかし、中国をしのぐ勢いでインドの需要が増加し、中国においても自家用車の普及によってガソリン需要は拡大の一途など、新興国の需要は拡大を続けており、今後も堅調な世界のエネルギー需要が予想される。
また、エネルギーの供給サイドでは、OPEC(石油輸出国機構)非加盟産油国ではすでに生産調整は始まっており、世界の供給量は減っている。「これまで原油価格の下落局面は、下落開始から400日以内にボトムをつけた。今回は1月下旬ですでに400日以上となり、ここを転換点に今後は上昇基調をたどるだろう」(ワイク氏)との見方だ。そのほか、金(ゴールド)がリスクオフ時の待避先として一定の需要を持ち続け、農産物の一部にも需給ギャップが注目されるという。
日本では日銀のマイナス金利政策の影響で、国内債券利回りがマイナス圏に沈み込むというかつて経験したことがない金利水準(債券価格は高値)にある。「低金利の継続で大きく値上がりした債券、また、株式は価格が高くなり過ぎて買いにくくなっているが、コモディティーは大幅に価格が下落したままだ。ポートフォリオを多様化するという観点でも、一部の資産をコモディティーに振り向ける意味はある」(ワイク氏)としている。
シュローダー・グループは、コモディティー市場で約20億ドル(約2200億円)を運用している。50種類以上のコモディティーを対象に、それぞれ需要と供給などのファンダメンタルズ分析に基づき、エネルギー、金属、農産物の分類に分散投資を行うアクティブ運用を行っている。日本で取り扱いのあるコモディティー運用商品はインデックスファンドが中心で、原油価格、金価格など単品のコモディティーを投資対象にした商品が一般的。シュローダーが行っているような複数のコモディティーを組み合わせてアクィブ運用を行うコモディティー・ファンドはめずらしい。
日本では「シュローダー・コモディティー・ファンド」<2008110404>、「日興・シュローダー・コモディティー・ファンド(Aコース為替ヘッジなし<2008030701>/Bコース為替ヘッジあり<2008030702>)」の3タイプを提供している。
提供:モーニングスター社