<トップインタビュー>「長期の運用を通じてお客さまの信頼に応える」=ニッセイアセット赤林社長(上)

 ニッセイアセットマネジメントは2016年4月1日付で役員異動を行い、代表取締役社長の宇治原潔氏が代表取締役会長に就き、代表取締役社長に赤林富二氏が就任した。赤林氏は社長就任前、日本生命保険の取締役常務執行役員を務めていた。赤林氏に、社長就任の抱負と当面の経営方針について聞いた。

 ――日本生命保険の取締役常務執行役員から、ニッセイアセットマネジメントの社長に就任された。日本生命時代には、国際業務をはじめ、財務企画、融資、不動産などを担当。資産運用業務は生命保険会社も本業ではあるが、資産運用に特化したアセットマネジメント会社のトップに就任するにあたっての抱負は?

 日本生命において資産運用部門を担当した経験もありますが、2010年から2年間はニッセイアセットマネジメントの取締役執行役員 企画総務部部長として運用会社の業務も経験しています。両方の業務を経験して感じたことは、お客さまの信頼が事業の基盤になっている点では変わりがないということでした。ですから、社長就任にあたっても、ことさら新しい仕事を始めるという感覚はありませんでした。

 ただ、同じ資産運用を業としていても、生命保険会社の運用は、保険商品が約束している予定利率を意識した運用が中心になります。一方、運用会社は資産運用の手段を提供する仕事なので、国内外の株式や債券、そして、オルタナティブも含め、バラエティーに富んだ幅広い運用商品を提供しているという違いがあります。

 資産運用業の社会的な役割は、この数年でますます重要になっていると感じます。NISA(少額投資非課税制度)が始まって、多くの方々がNISA口座を開設しています。また、今年からジュニアNISAも始まり、確定拠出年金制度も加入対象者が大幅に拡充される見通しです。マイナス金利政策が導入されたことでも、自己責任で資産形成する意識が高まってきているようです。個人のお客さまの資産形成を支援する点では、アセットマネジメント会社には、これまで以上に大きなフィールドが広がっていると思います。その点では、ワクワクするというか、気持ちの高ぶりと責任の重さを感じます。

 ――運用会社に対する社会的な責任が高まることと並行して、日本版スチュワードシップコード(資産運用受託者・機関投資家の行動規範)、また、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)など、運用会社に求められる資質を問う姿勢も厳しくなってきている。このような点への対応は?

 スチュワードシップコードやフィデューシャリー・デューティーという言葉は、比較的新しい言葉ですが、その理念については、以前から私どもが実践してきた内容と変わりがないと受け止めています。

 たとえば、当社が日本版スチュワードシップコードの受け入れを表明したのは2014年ですが、2006年7月にはPRI(国連責任投資原則)に署名し、資産運用にあたってESG(環境・社会・ガバナンス)の問題に配慮する姿勢を明確にしています。

 それ以前においても、たとえば株式投資では、財務情報やテクニカル指標だけで投資を判断するのではなく、経営者の企業運営への姿勢も踏まえて中・長期的に持続的な成長が可能であるかどうかを吟味し、確信度の高い企業にのみ投資を実行するようにしています。実際に2004年からは、投資先企業の5カ年の収益見通しをリポートにして運用者で共有しています。一般に、企業の発表は、翌年度の見通しや3カ年計画がメーンですが、当社では長期投資の観点から少なくとも向こう5年間を展望して投資判断に活用しています。

 生命保険会社の運用は、終身保険や年金保険を提供している関係もあって、20年、30年という長期にわたる運用についても当たり前に考える文化があります。この長期の運用に耐えうる企業や資産を見極めるという運用姿勢こそが、現在、運用会社に強く求められる社会的な責任であると思います。その点では、生命保険会社を母体とした運用会社である私どもには一日の長があると思います。

 フィデューシャリー・デューティーについても、商品開発、運用、説明責任など各分野において、改めて社内体制や取り組み内容の検証を行っているところです。また、近々にフィデューシャリー・デューティー宣言を行う予定です。お客さまの信頼があってこそ、長期投資も実現でき、長期的に良好なパフォーマンスを提供することによってこそ、お客さまからの信頼も高まるものです。受託者責任を全うするためには、お客さまの信頼をつなぐ取り組みを循環させることが重要であると考えています。

 (下)につづく
提供:モーニングスター社
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