エマージング債券でリスクを抑えて市場並みのリターンをめざす=HSBCのトータル・リターン戦略
HSBCグローバル・アセット・マネジメント(USA)の新興国債券 プロダクト・スペシャリスト責任者のブライアン・ダネット氏は、「エマージング債券は米国利上げの行方や中国経済の変動で、成長力や安定性が左右されやすい不安定な市場において、すべての国に投資するインデックス運用は非効率な側面がある。確信度の高い新興国に選別投資する絶対リターン型の投資戦略をご検討ください」と語る。
同社が運用するHSBCエマージング債券(トータル・リターン)プロダクトは、日本では三井住友アセットマネジメントの「三井住友・新興国債券・トータルリターン・ファンド(為替ヘッジなし)」<2015011309>、「同(為替ヘッジあり)」<2015011308>の実質的な投資先になっているほか、機関投資家向けにルクセンブルク籍ファンドが提供されている。
――エマージング債券トータル・リターン戦略は、1999年10月末の運用開始以来トータル・リターンが年率9.73%という優れた成績を残している。絶対リターンの獲得を目指す運用ということだが、特徴は?
トータル・リターン戦略は、外貨建て、現地通貨建てのエマージング債券市場のあらゆる投資機会に柔軟にアクセスすることで、ベンチマークを意識せず、市場並みのリターンを目指します。ショートやキャッシュなどのポジションも使って、確信度の高い投資機会にのみ投資を行います。
また、ボラティリティーを抑えることも重要な目標にしています。エマージング債券インデックスの、2分の1から3分の2程度のボラティリティーに抑えることを目指しています。そして、インデックスが5−6.5年に対し、1−4年と短いデュレーションで運用しています。
たとえば、これまでの運用を振り返ると、2012年後半は債券などリスク資産が堅調に推移する中で割高になったと判断したため、13年1月頃にはネット・エクスポージャーを20%程度まで低くしました。その後、債券市場の下落で割高感が後退した局面ではリスクポジションを高め、13年6月以降にネットポジションを90%以上に高めるなど、ポジション調整は大胆に行っています。
個別の国々への投資についてもファンダメンタルズに対して売られ過ぎと判断される水準では、積極的に買い増しに動きます。14年にはロシアルーブルを、15年はブラジルレアルを買い増ししてプラスのリターンにつなげました。
このような投資判断は、「バリュエーション」「ファンダメンタルズ」「テクニカル」の3つの面で分析した結果を総合的に判断して決定しています。このような判断プロセスは、インデックス運用と変わりません。
――リスク管理のポイントは?
ポートフォリオマネジャーは、世界各地で活動しているエコノミストやアナリストと常に議論して投資判断をチェックしています。また、ストレステストも定期的に行って、ポートフォリオが意図したリスクを取っているか、意図しないリスクは回避しているかを検証しています。
デュレーション管理も厳格に行っていますが、デュレーションを短くするための手法も使い分け、先物をショートして調整する、短期の債券を組み入れる、キャッシュポジションの比率を高めるなど、その時々の環境に応じて最適の調整方法を取るようにしています。
――現在のエマージング債券市場の魅力度は?
2016年にエマージング債券市場は、急速な戻り相場になりました。私どもは、この戻り相場はスピードが速すぎると感じ、慎重な投資態度をとっています。ただ、投資対象国を個々に見ると、変動相場制を導入する国の中で、外貨準備も豊富、また、伝統的な金融政策でインフレの抑制に成功している国もあります。ファンダメンタルズがしっかりしていて、割安と判断される債券は存在します。一方で、アジアや東欧諸国には、米国金融政策や中国の影響の折り込み度が依然として低い国もあるため、そのような国の債券は避ける必要があると考えています。
マイナス金利政策を導入している国の投資家は債券利回りの低下から、相対的に高い利回りがあるエマージング債券に魅力を感じると思います。ただ、インデックスに投資すると、内容の良くない国の債券にも合わせて投資することになります。トータル・リターン戦略は、内容の良くない国への投資を回避し、ダウンサイドリスクを極力抑えて、外貨建て、現地通貨建て各エマージング債券インデックスの平均以上のリターンを目指す戦略です。エマージング債券に投資する手段のひとつとして、トータル・リターン戦略をご検討ください。
提供:モーニングスター社
同社が運用するHSBCエマージング債券(トータル・リターン)プロダクトは、日本では三井住友アセットマネジメントの「三井住友・新興国債券・トータルリターン・ファンド(為替ヘッジなし)」<2015011309>、「同(為替ヘッジあり)」<2015011308>の実質的な投資先になっているほか、機関投資家向けにルクセンブルク籍ファンドが提供されている。
――エマージング債券トータル・リターン戦略は、1999年10月末の運用開始以来トータル・リターンが年率9.73%という優れた成績を残している。絶対リターンの獲得を目指す運用ということだが、特徴は?
トータル・リターン戦略は、外貨建て、現地通貨建てのエマージング債券市場のあらゆる投資機会に柔軟にアクセスすることで、ベンチマークを意識せず、市場並みのリターンを目指します。ショートやキャッシュなどのポジションも使って、確信度の高い投資機会にのみ投資を行います。
また、ボラティリティーを抑えることも重要な目標にしています。エマージング債券インデックスの、2分の1から3分の2程度のボラティリティーに抑えることを目指しています。そして、インデックスが5−6.5年に対し、1−4年と短いデュレーションで運用しています。
たとえば、これまでの運用を振り返ると、2012年後半は債券などリスク資産が堅調に推移する中で割高になったと判断したため、13年1月頃にはネット・エクスポージャーを20%程度まで低くしました。その後、債券市場の下落で割高感が後退した局面ではリスクポジションを高め、13年6月以降にネットポジションを90%以上に高めるなど、ポジション調整は大胆に行っています。
個別の国々への投資についてもファンダメンタルズに対して売られ過ぎと判断される水準では、積極的に買い増しに動きます。14年にはロシアルーブルを、15年はブラジルレアルを買い増ししてプラスのリターンにつなげました。
このような投資判断は、「バリュエーション」「ファンダメンタルズ」「テクニカル」の3つの面で分析した結果を総合的に判断して決定しています。このような判断プロセスは、インデックス運用と変わりません。
――リスク管理のポイントは?
ポートフォリオマネジャーは、世界各地で活動しているエコノミストやアナリストと常に議論して投資判断をチェックしています。また、ストレステストも定期的に行って、ポートフォリオが意図したリスクを取っているか、意図しないリスクは回避しているかを検証しています。
デュレーション管理も厳格に行っていますが、デュレーションを短くするための手法も使い分け、先物をショートして調整する、短期の債券を組み入れる、キャッシュポジションの比率を高めるなど、その時々の環境に応じて最適の調整方法を取るようにしています。
――現在のエマージング債券市場の魅力度は?
2016年にエマージング債券市場は、急速な戻り相場になりました。私どもは、この戻り相場はスピードが速すぎると感じ、慎重な投資態度をとっています。ただ、投資対象国を個々に見ると、変動相場制を導入する国の中で、外貨準備も豊富、また、伝統的な金融政策でインフレの抑制に成功している国もあります。ファンダメンタルズがしっかりしていて、割安と判断される債券は存在します。一方で、アジアや東欧諸国には、米国金融政策や中国の影響の折り込み度が依然として低い国もあるため、そのような国の債券は避ける必要があると考えています。
マイナス金利政策を導入している国の投資家は債券利回りの低下から、相対的に高い利回りがあるエマージング債券に魅力を感じると思います。ただ、インデックスに投資すると、内容の良くない国の債券にも合わせて投資することになります。トータル・リターン戦略は、内容の良くない国への投資を回避し、ダウンサイドリスクを極力抑えて、外貨建て、現地通貨建て各エマージング債券インデックスの平均以上のリターンを目指す戦略です。エマージング債券に投資する手段のひとつとして、トータル・リターン戦略をご検討ください。
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