東京海上アセットマネジメント「円奏会」、利回り求める資金が流入し純資産残高2000億円突破

 東京海上アセットマネジメントが設定・運用する「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」(愛称:円奏会)<2012110902>(★★★★★、評価基準日=6月30日)は、7月28日に純資産総額が2000億円の大台を突破した。モーニングスター アワード ファンド オブ ザ イヤー2015の「バランス(安定)型」部門で、「最優秀ファンド賞」受賞が発表された1月28日の純資産残高は約938億円だったため、半年間で残高が倍増した。この間、毎月30円の分配を実施しながら基準価額は12000円前後で安定し、ファンドの購入による資金流入が続いたことが残高を押し上げた。

 「円奏会」は、日本債券=70%、日本株式=15%、日本REIT=15%を基本に分散投資する。基準価額の変動リスクが大きくなった場合には、株式とREITというリスク資産の資産配分比率を引き下げ、その引き下げた部分は短期金融資産等で運用することで、基準価額の変動リスクを年率3%程度に抑えた運用をめざすことが特徴。

 2016年は、2月2日、2月5日に連続してリスク資産への投資比率を引き下げ、2月5日以降は合計11%程度(株式とREITへの投資比率は、ほぼ等分)にした。さらに、3月14日にはリスク資産への投資比率を一段と下げ、6.45%と運用開始以来で最低水準に引き下げている。

 同ファンドを運用する東京海上アセットマネジメント運用戦略部シニアファンドマネージャーの山崎晃樹氏は、「運用モデルを使ってファンドのリスクを日々測定しており、それに基づいて資産配分比率の変更を実施している。2月、3月にリスク資産の組み入れ比率を引き下げたことで、その後の株価の大きな変動を回避することができた」と、2016年に入ってからの運用を振り返っている。ファンド資産の70%を配分する日本債券は、主として国内の投資適格社債で運用しているが、この社債への投資が日銀のマイナス金利政策によって堅調な価格推移となり、足元のパフォーマンスを支えている。

 「円奏会」のパフォーマンスは、16年1月末に最高位の5つ★に格上げされたあと、6月末基準まで6カ月連続で5つ★を継続。リスクメジャーは「1」(低い)で、リスクを抑えて安定的に高いリターンを出している。ファンド オブ ザ イヤーの受賞に加え、このパフォーマンスもあって、販売会社は16年になってから10社増え、8月1日時点で37社になった。

 マイナス金利となってからの社債の運用状況は、「資金流入によって多い時には1日当たり20億円近くの新たな債券を組み入れることもあるが、低金利環境を生かした新規の社債発行もあることから、依然として銘柄を精査・選別して組み入れることが可能な状況にある」(山崎氏)という。同ファンドへの資金流入は、販売会社の大半を占める銀行を通じた流入が中心。預貯金の金利が0.01%となり、預貯金に代わる「利回り」を求めるニーズはかつてなく強い。その受け皿として「円奏会」がクローズアップされているようだ。依然として、ファンドについて新規取り扱いを検討する販社からの問い合わせは多いという。

 今後の運用の見通しについて、「仮に、マイナス金利が一段と深くなる場合は、保有債券からのさらなるキャピタルゲインが期待でき、短期的にはファンドにとってポジティブととらえている。また、マイナス金利の環境が長く続くのであれば、ポートフォリオの利回り水準を維持するために、劣後債など一定の利回り確保が見込める銘柄への投資を増やすなどの手段もある。加えて、マイナス金利環境の継続による株式やREITの価格へのプラス面が、中・長期的なファンドのトータルリターンを下支えするものと考えている」(山崎氏)。

 反対に、金利が上昇に転じた場合は、短期的には債券・株式同時安の影響も懸念される。「金利が上がる局面は、一般的には景気回復が背景にあると想定され、一時的にマーケットにショックを与えたとしても、本質的には株式やREITにとってはプラスに働く要素。また、利回りの上昇でインカム収益力が向上する効果も期待できる。ファンドにとって、最悪のシナリオは、日本への信頼が失われ、日本の債券も株式も一斉に売られるような局面。しかし、このような事態はあくまでも実現可能性の低いリスクシナリオの一つ」(山崎氏)としている。「引き続き、リスク資産への資産配分比率を市場環境に応じて柔軟に調整しながら、中・長期的に安定した運用をめざす」と語っていた。
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。