世界の投資家の期待運用利回りは「現実離れ」=シュローダー・グループが2万人調査

 シュローダー・グループ(英国・ロンドン)は、欧米、日本、オーストラリアのほか、ブラジル、インド、中国などを含む世界28カ国の個人投資家2万人を対象に「シュローダー・グローバル投資家意識調査2016年」を実施し、その内容を分析したリポートを発表した。リポートでは、「現在の経済および市場環境を考慮すると、求める投資収益に対し、投資資金の保有期間などにギャップがあり、投資家がかなり現実離れした期待を抱いている」と分析している。

 調査対象にしたのは、「1万ユーロ相当額(約127万円)以上を今後1年間に投資する予定があり、かつ、直近5年間に投資商品の取引がある投資家」。調査期間は2016年3月30日−4月25日。オンライン調査で有効サンプル2万人分を集めた。

 まず、「投資の目的」は、「年金などの収入を補うため」(45%)がもっとも多く、「投資資金を増やすため」(44%)、「給与などの収入を補うため」(43%)が高い回答率になった(複数回答)。これに次いだのが、「子どもや親族を援助するため」(23%)、「子どもや孫の教育費にあてるため」(20%)だった。「唯一の収入源を確保するため」という回答も10%を超えた。投資家は、何らかの収入(インカム)を得るために投資している。

 そこで、「期待運用利回り」を聞くと、「11%」以上という回答が30%になり、10%以上の運用利回りを期待している投資家が約半数になった。期待運用利回りの平均は「9.1%」だった。世代別にみると、2000年以降に成人となったミレニアル世代の平均が「10.2%」と一段と高かった。一方で、ほとんどの投資家が「元本確保を重視している」と回答しており、期待運用利回りとの大きなギャップが明らかとなった。

 また、投資資金の保有期間は平均3年程度だった。一般に株式投資では最低5年必要といわれるが、5年以上保有すると回答した投資家は20%未満だった。ミレニアル世代の保有期間は平均2.7年と一段と短期志向になり、投資資金の保有期間を1年未満とする回答は約40%になった。

 このような調査結果について、リポートでは「世界的に高利回り志向が依然として根強いが、金利が5%以上だった時代とは投資環境は様変わりしている。現在の低金利環境下でも投資に対して過度な期待を抱いていることは、長期的な資産形成を考慮するうえで、投資家が意図しないリスクを抱える恐れがある」と指摘している。
提供:モーニングスター社
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