産油国減産で中東に再注目、サウジのMSCI新興市場組入も追い風

 OPEC(原油輸出国機構)加盟国とロシアを中心とした非加盟国は7日にウィーンで開いた会合で、合わせて日量120万バレルの減産を実施することで合意した。減産により石油価格を維持することが狙いである。11月28日には一時1バレル=50.06ドルと10月3日時点と比べて3割以上下落する展開となったことで、景気後退のサインではという見方が米国市場を中心に広まったものの、今回の合意を受けて安定的に推移する可能性が出てきた。

 中東に目を向けると原油問題や最近の政治的な問題の多さにもかかわらず、意外にもファンダメンタルズが強い国が多いことが注目される。日本貿易振興機構のデータによると、通貨危機を招く主要な要因の一つである経常収支については、中東主要国のうち2017年の1年間でトルコがマイナスであったものの、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、サウジアラビアでは全ての国で100億ドル以上のプラスを達成しているほか、外貨準備(2016年時点)はサウジアラビアが5000億ドル以上と、アラブ首長国連邦、イスラエル、トルコが800−1000億ドルの水準であるのと比べて突出している。

 日本では中東ファンドというとトルコをイメージしやすいものの、上記のような地域を主要投資対象とするファンドが複数あることに注目したい。ファンドの名称に「中東」または「アラブ」を含むファンドは2018年10月末時点で5本存在しており、いずれも株式型ファンドであり、サウジアラビアやアラブ首長国連邦への投資割合が高くなっている。一例として「アムンディ・アラブ株式ファンド」<2008013107>では、同月末時点でサウジアラビアに54.6%投資しているほか、「シュローダー 中東/北アフリカ・ファンド」<2007083108>では同月末時点でアラブ首長国連邦に18.48%投資しており国別構成比率が最も高い。

 2018年11月末時点で新興国を代表する株価指数であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスにはトルコの他にカタール、アラブ首長国連邦が組み入れ対象となっているが、2019年6月にはサウジアラビアが構成国に加わることが発表されており、新興国投資における中東地域の影響がますます高まるか注目される。
提供:モーニングスター社
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