GPIFがインフラ投資の情報公募、コロナショックでも生活インフラに投資機会
公的年金の運用を担っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は4月27日、国内と新興国のインフラに投資する投資機会や投資スキームに関する情報提供(RFI)を内外の機関投資家に求め始めた。今回の情報提供について、GPIFは「投資判断を行うものではない」と予め断っているが、今後の投資資産の拡充につながる動きとして注目される。GPIFの運用方針は、長期で安定的な収益を求める個人の投資家にも参考になる部分が大きい。GPIFが新たに調査を始める「インフラ投資」についても注目しておきたい。
GPIFは今年4月から5年間の中期運用方針において、基本ポートフォリオの資産構成割合を国内債券25%(かい離許容幅プラスマイナス7%)、外国債券25%(同6%)、国内株式25%(同8%)、外国株式25%(同7%)としている。その中にあって、オルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他経営委員会の議を経て決定したもの)については、リスク・リターン特性に応じて国内外の株式・債券のどこかに区分し、資産全体の5%を上限とすると定めている。
今回、情報提供を求めているのは、オルタナティブ資産の中で、インフラストラクチャーに分類される資産についての情報だ。国内の場合は、国内インフラ市場における投資機会(債権への投資機会も含む)、投資スキーム、注目すべき分野(洋上風力発電、通信インフラなど)、その他注目すべきテーマ(PPP=官民連携手法、PFI=民間資金等活用事業など)となっている。海外については、新興国に特化したファンド・オブ・ファンズ・マネージャーに関する有益な情報やアイデアとしている。
インフラ投資は、一般的に経済的な基盤(インフラ)となる道路、橋、トンネル、空港、鉄道、港湾、発電所、ガス・石油のパイプライン、上下水道、ごみ処理施設などに、直接的、間接的に投資し、その施設等の利用料金や施設運営によって得られる利益を収益として運用益に取り入れるものだ。基本的に、生活に必要な施設が対象となるため、景気動向に関係なく安定的な収益が期待できる一方、地震や風水害等による施設の破損等、従来とは異なるリスクをとることになる。ただ、国内の空港が赤字で閉鎖を余儀なくされるなど、現在の施設運営環境が将来も継続的に期待できるかどうかなど、施設の評価には独自のノウハウが必要であり、かつ、大規模な投資が必要で換金が難しいというデメリットもある。
国内公募投信に「インフラ」を冠したファンドは現在100本以上存在する。主なファンドが、インフラ関連企業の株式や債券に投資するもので、GPIFが今回求めている国内インフラ投資案件とは、やや異なる。海外投資向けは、「インフラ分野における分散投資推進の観点から、グローバル・コア戦略の一環として新興国のインフラを中心とした特化型運用の運用受託機関の採用を検討している」となっているので、公募ファンドで「インフラ」と名前のついているファンドに似ているようだ。
公募ファンドの年率リターン(3年)は、20年3月末時点で最も良いものが「インベスコ米国公共インフラ債ファンド(H無)(愛称:パブリック・インカム)」で2.40%、それに続くのが「三菱UFJ/AMP Gインフラ債券ファンド<H無>(毎月)(愛称:世界のいしずえ)」で1.20%になっている。成績の悪いファンドではマイナス20%のファンドもあるため、運用の格差は大きい。決して高くないリターンだが、それをいかに安定的に稼げるかというところにファンドマネジャーの腕の見せ所があるといえる。それだけ、ファンド選びは慎重に行う必要があるだろう。
現在、世界の市場は、新型コロナウイルスの感染拡大がピークを迎えて終息に向かっているのかどうかを、かたずをのんで見守っている。欧州などでは一部の国でロックダウンの解除も検討されているようだが、解除によって再流行につながらないかどうかを再び注視しておく必要もある。簡単にはいかないのが、ウイルス対策といえる。そして、ウイルスの蔓延によって、失職する人が世界中であふれ経済がマヒしてしまうことを私たちは学んだところだ。いつ何時、このような事態が再発するかもしれないというリスクを意識する必要がある。このような中にあっても、水道や電力・ガスなどライフラインに関わる施設は動き続けている。そこに投資機会があることは明瞭だ。GPIFが改めてインフラ投資の情報を求めているように、中長期の資産形成を安定させるための手段のひとつとして、インフラへの投資も検討できることがわかる。
提供:モーニングスター社
GPIFは今年4月から5年間の中期運用方針において、基本ポートフォリオの資産構成割合を国内債券25%(かい離許容幅プラスマイナス7%)、外国債券25%(同6%)、国内株式25%(同8%)、外国株式25%(同7%)としている。その中にあって、オルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他経営委員会の議を経て決定したもの)については、リスク・リターン特性に応じて国内外の株式・債券のどこかに区分し、資産全体の5%を上限とすると定めている。
今回、情報提供を求めているのは、オルタナティブ資産の中で、インフラストラクチャーに分類される資産についての情報だ。国内の場合は、国内インフラ市場における投資機会(債権への投資機会も含む)、投資スキーム、注目すべき分野(洋上風力発電、通信インフラなど)、その他注目すべきテーマ(PPP=官民連携手法、PFI=民間資金等活用事業など)となっている。海外については、新興国に特化したファンド・オブ・ファンズ・マネージャーに関する有益な情報やアイデアとしている。
インフラ投資は、一般的に経済的な基盤(インフラ)となる道路、橋、トンネル、空港、鉄道、港湾、発電所、ガス・石油のパイプライン、上下水道、ごみ処理施設などに、直接的、間接的に投資し、その施設等の利用料金や施設運営によって得られる利益を収益として運用益に取り入れるものだ。基本的に、生活に必要な施設が対象となるため、景気動向に関係なく安定的な収益が期待できる一方、地震や風水害等による施設の破損等、従来とは異なるリスクをとることになる。ただ、国内の空港が赤字で閉鎖を余儀なくされるなど、現在の施設運営環境が将来も継続的に期待できるかどうかなど、施設の評価には独自のノウハウが必要であり、かつ、大規模な投資が必要で換金が難しいというデメリットもある。
国内公募投信に「インフラ」を冠したファンドは現在100本以上存在する。主なファンドが、インフラ関連企業の株式や債券に投資するもので、GPIFが今回求めている国内インフラ投資案件とは、やや異なる。海外投資向けは、「インフラ分野における分散投資推進の観点から、グローバル・コア戦略の一環として新興国のインフラを中心とした特化型運用の運用受託機関の採用を検討している」となっているので、公募ファンドで「インフラ」と名前のついているファンドに似ているようだ。
公募ファンドの年率リターン(3年)は、20年3月末時点で最も良いものが「インベスコ米国公共インフラ債ファンド(H無)(愛称:パブリック・インカム)」で2.40%、それに続くのが「三菱UFJ/AMP Gインフラ債券ファンド<H無>(毎月)(愛称:世界のいしずえ)」で1.20%になっている。成績の悪いファンドではマイナス20%のファンドもあるため、運用の格差は大きい。決して高くないリターンだが、それをいかに安定的に稼げるかというところにファンドマネジャーの腕の見せ所があるといえる。それだけ、ファンド選びは慎重に行う必要があるだろう。
現在、世界の市場は、新型コロナウイルスの感染拡大がピークを迎えて終息に向かっているのかどうかを、かたずをのんで見守っている。欧州などでは一部の国でロックダウンの解除も検討されているようだが、解除によって再流行につながらないかどうかを再び注視しておく必要もある。簡単にはいかないのが、ウイルス対策といえる。そして、ウイルスの蔓延によって、失職する人が世界中であふれ経済がマヒしてしまうことを私たちは学んだところだ。いつ何時、このような事態が再発するかもしれないというリスクを意識する必要がある。このような中にあっても、水道や電力・ガスなどライフラインに関わる施設は動き続けている。そこに投資機会があることは明瞭だ。GPIFが改めてインフラ投資の情報を求めているように、中長期の資産形成を安定させるための手段のひとつとして、インフラへの投資も検討できることがわかる。
提供:モーニングスター社