パッシブ投信のコスト「お得度」、資産間で大差−見極め3つのポイント

 投資信託選びで重要なポイントの1つが、基準価額から日々差し引かれる「信託報酬」の水準だ。ファンドを保有し続ける限りかかるコストのため、特に長期で保有するほど影響は大きい。一般的に指数への連動を目指すパッシブファンドは、指数を上回ることを目指すアクティブファンドよりも信託報酬が低い。ただし、アクティブとパッシブのコストの差は資産によってまちまちだ。そこで、コストの差が大きく、パッシブを選ぶことでよりコストメリットを得られる「お得」な資産はどれか、4月末時点のモーニングスターの「フィーレベル・カテゴリー」に基づき調べてみた。

 株式・債券を対象に主要資産でアクティブとパッシブのコスト平均(信託報酬等・税込)を比較したところ、(1)債券よりも株式(2)国内資産よりも海外資産(2)先進国よりも新興国株式――でコストの差が大きいことが分かった。これら3つのポイントを全て兼ね備えた、最もお得度が高い資産が「新興国株式」だ。パッシブのコスト平均は0.68%と、アクティブのコスト平均1.87%に比べ、1.20%も下回っている。アクティブは銘柄の調査等に費用がかかることからパッシブに比べ高コストだが、新興国株式においてはそれが顕著で、その分パッシブの低コストが際立っている。

 さらに注目したいのはあくまでもこれは「平均」の比較である点。個別ファンドで見ると、新興国株式のパッシブで最も低コストなのは「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」で0.20%、次いで「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」、「ニッセイ 新興国株式インデックスファンド」の0.21%と、パッシブの平均を大きく下回る。新興国株式に投資するアクティブファンドのうち、幅広い国に分散し、長期で高パフォーマンスを継続しているファンドは実は少なく、その多くはアジアなど投資対象地域が一部地域に偏っている。低コストに加え、そうした分散投資の観点からも新興国株式の投資対象としてパッシブは投資家の選択肢になりやすいと言えるだろう。

 それ以外の資産では「先進国株式」もパッシブのコスト平均が0.58%と、アクティブのコスト平均1.77%を大きく下回る低コストだ。先進国株式は各社によるコスト競争の主戦場と言え、コストゼロで話題を呼んだ「野村 スリーゼロ先進国株式投信」をはじめ、「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は税込で0.10%を下回る超コストの領域に突入している。

 逆にアクティブとパッシブのコスト差が最も少なかったのは「国内債券」でアクティブのコスト平均0.39%に対してパッシブは0.36%と、差は0.03%しかない。また、「先進国債券」はアクティブとパッシブのコスト差が0.78%と国内債券に比べると大きいが、「新興国債券」の差1.05%の方がより大きく、債券に関しても新興国ではパッシブのコスト優位性が高い。最も低コストなのは「iFree新興国債券インデックス」で0.24%と平均の半分以下の水準に抑えている。
提供:モーニングスター社
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