バランス型選びの「ツボ」−長期パフォーマンス左右、4つに分類

 コロナ危機による3月の株安を受けて改めて分散投資の重要性が認識されている。これを機に、複数の資産に1つのファンドで分散が可能なバランス型ファンドへの投資を検討している投資家も多いのではないだろうか。バランス型ファンドを選ぶ上でチェックしておきたいのが、株式・REIT(不動産投資信託)の組入比率だ。これらのリスク資産にどのくらい投資するかが長期のパフォーマンスを左右することになる。

 モーニングスターでは株式・REITの組入比率に応じてバランス型ファンドを4つのカテゴリーに分類している。株式・REITの組入比率25%未満が「安定」、25%以上50%未満が「安定成長」、50%以上75%未満が「バランス」、75%以上が「成長」だ。比較的安定した値動きをする債券に比べて、リスク資産に位置づけられる株式・REITの値動きは大きい。バランス型ファンドの中でも、基本的に株式・REITの組入比率が高いほど「ハイリスク・ハイリターン」と覚えておこう。

 実際に株式・REITの比率によってどのくらい値動きは異なるのだろうか。国内投信のリターンを指数化したモーニングスターインデックスに基づき、月次ベースでデータ取得可能な00年1月末から20年4月末までの累積リターンを見たところ、最も優れたパフォーマンスとなったのが「バランス」で37.48%、次いで「成長」の34.67%となり、「安定成長」の31.33%や「安定」の27.89%を上回った。比較的リスク資産の組入比率が高いカテゴリーが良好となっており、株式・REITが急落した直近のコロナ危機を経てもなお優位なパフォーマンスを維持している。長期の資産形成においては期待リターンの高い株式を多めに組み入れることがやはり重要と言えるだろう。

 もっとも、全ての投資家にとって株式・REITの比率が高めのバランス型がふさわしいというわけではない。退職が近いまたは退職後で、想定する運用期間が短いなど資産の目減りをできるだけ抑えたい投資家もいるはずだ。1年間の最大下落率は「成長」が−43.48%、「安定」が−20.17%と倍以上の差が開いている。いずれも08年のリーマン・ショック時の下げだが、最大でその程度の下落を許容できるか考えてみよう。

 株式・REITの組入比率は目論見書や運用報告書で確認できるが、モーニングスターのホームページでどのカテゴリーに属しているかを参考にするのもおすすめだ。例えば、バランス型の純資産残高上位ファンドでは「東京海上・円資産バランスファンド(毎月)」が「安定成長」「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」が「成長」などとなり、リスク資産の比率が高いか低いかをおおまかに把握できる。
提供:モーニングスター社
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