選別色強まるJ−REIT、「インフォメーションレシオ」で選ぶアクティブ投信トップ5

 コロナ危機でJ−REIT(不動産投資信託)の中でもホテルが苦戦を強いられる一方、比較的影響を受けにくいとみられる物流が堅調となるなど用途別で選別色が強まっている。市場全体を保有するインデックスファンドではなく、相場状況に応じて銘柄を選別するアクティブファンドへの注目度が高まりそうだ。

 そこでアクティブファンドの評価指標である「インフォメーションレシオ」を用いて運用成績が優れたファンドをピックアップした。同指標はベンチマークに対する超過収益をその標準偏差(トラッキングエラー)で割って求めるもので、数値が高いほど優れた運用が行われていることを示す。

 運用実績5年以上の国内REITアクティブファンド(確定拠出年金、ファンドラップ専用、通貨選択型除く)36本を対象に、東証REIT指数(配当込)をベンチマークと仮定して4月末までの過去5年間のインフォメーションレシオを算出し、トップ5のファンドを見たところ、第1位は「野村 Jリートファンド」で0.70となった。同期間にベンチマークが0.28%のリターン(年率)となる中、同ファンドは36本中で最高となる1.07%の超過収益を獲得。一方、トラッキングエラーは1.52%と、36本の平均1.38%をやや上回る程度に抑えている。適度なリスクを取りながら効率的に超過収益を稼いでいるファンドと言えるだろう。

 ポートフォリオの組入上位を見ると、東証REIT指数では1.5%未満の比率にとどまる「Oneリート」や「ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト」を割安感から着目して5%以上組み入れるなど、指数とは顔ぶれが大きく異なる特徴的な選定だ。ちなみに、同ファンドと同じ運用手法であることから今回はランキングで取り上げなかったものの、同じく野村アセットマネジメントが運用する「J−REITオープン」(資産成長型、年4回決算型、毎月決算型)もインフォメーションレシオは0.44−0.65と高い。

 インフォメーションレシオ0.64で第2位となった「明治安田 J−REIT戦略ファンド(毎月分配型)」も超過収益が0.91%、トラッキングエラーが1.43%と、リターンとリスクのバランスをうまく取っている。東証REIT指数が63銘柄で構成されるのに対して、同ファンドは組入銘柄数が27銘柄と絞り込んでいるのが特徴だ。組入上位10銘柄の合計比率も56.6%と、東証REIT指数の46.7%や「野村 Jリートファンド」の44.6%を大きく上回り、高い集中度となっている。

 第3位の「Jリートアクティブファンド(1年決算)」、4位の「Jリートファンド」はインフォメーションレシオがそれぞれ0.60、0.53となった。いずれも三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用するファンドで、実際の運用を行うマザーファンドは同一だ。コロナ危機が深刻化した3月は国内REITファンドの中でトップクラスのパフォーマンスを達成しており、質の高い銘柄への投資が相対的に良好な運用成績につながっている。信託報酬等(税込)が「Jリートアクティブファンド(1年決算)」は0.77%、「Jリートファンド」は0.83%とアクティブファンドとしてトップクラスの低コストであることも長期での超過収益獲得に寄与している。

 また、インフォメーションレシオ0.42で第5位となった「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は組入銘柄数が34、組入上位10銘柄の合計が60.4%となっており、「明治安田 J−REIT戦略ファンド(毎月分配型)」と同様にポートフォリオの集中度が高いタイプだ。
提供:モーニングスター社
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