グローバルREITの苦戦、分配金引き下げが示唆―「ポストコロナ」カギに

 日本を含む世界のREIT(不動産投資信託)に投資する「DIAM 世界リートインデックスF(毎月分配型)」が13日の決算で1万口当たりの分配金を50円から25円に引き下げた。分配金の引き下げは11年3月以来約9年ぶり。25円は設定(06年6月)来で最低水準だ。

 当ファンドを運用するアセットマネジメントOneは14日付の販売用資料で、REIT市場の下落を受けて基準価額が大きく下落する中、安定した分配金の支払いを継続するため引き下げを決定したとしている。

 当ファンドはゆうちょ銀行専用だが、4月末時点の純資産残高は1619億円と、国際REIT型の中で純資産残高は第6位、パッシブファンドではトップだ。コロナ危機があった3月を含め、直近4月まで29カ月連続で純資金流入を継続するなど投資家の支持を集めてきたが、今回の分配金引き下げが資金動向に影響を与える可能性もある。

 年初来のパフォーマンスは国際REIT型の残高上位ファンドに対して苦戦している状況だ。当ファンドの年初来リターン(4月末時点)は−23.78%となり、残高トップの米国REITファンド「フィデリティ・USリートB(H無)」の−18.17%と比べても下げは大きい。米国REITファンドに比べて、当ファンドのようなグローバルREITファンドが低迷している背景には、オーストラリアやフランスなど米国以外の国・地域がパフォーマンスの重しとなっていることがある。

 代表的な指数であるFTSE EPRA Nareitの国別リターン(配当込み・米ドルベース)を見ると、年初来では米国が−23.10%となる中、主要国ではオーストラリアが−35.16%、フランスが−34.83%と特に下げが顕著となっている。これら劣後が目立つ国に共通するのは、コロナ危機によるロックダウン(都市封鎖)の影響がより大きい小売セクターの比率の高さだ。小売セクターの比率は米国が12.27%にとどまるのに対してオーストラリアは33.88%、フランスは25.63%と米国を大きく上回る。

 対照的に、米国REITは時価総額上位銘柄に物流施設の『プロロジス』やデータセンターの『デジタル・リアルティ』といったコロナ危機でも収益を稼ぎやすい銘柄があり、『プロロジス』は年初来で横ばい、『デジタル・リアルティ』は20%以上のリターンとなるなど堅調だ。

 各国で感染収束を見据えた動きが出始めているものの、今回の危機を受けた行動変容が一時的ではなく中長期的に続くとの見方も強い。小売など伝統的なセクターの比率が高い国に対して、「ポストコロナ」に対応した次世代REITの有望銘柄がけん引する米国の優位性が続く可能性もある。
提供:モーニングスター社
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