定期金利引き下げ、資産2倍は「3万6千年後」―ツール活用、目標定め投信で運用を
4月に大手銀行・地銀で定期預金の金利が年0.01%から年0.002%に引き下げられた。10万円の預金に対する利息はわずか年2円。資産を複利で運用した場合に2倍にするために必要な年数を概算できる「72の法則」を用いると、72÷0.002%=3万6千年と、途方もない年数が導き出される。
複利は利息が利息を生み資産が雪だるま式に増えることだが、そもそも利回りの水準が低ければ当然ながら複利の効果も限定的になる。一方、投資信託などを活用して仮に3%で運用できれば72÷3=24年で2倍を達成できる。超低金利時代に運用が求められる理由だ。投資を行う上で念頭に置いておきたいことがある。(1)目標資産額を達成するためにどのくらいの利回りが必要かを明確にすること(2)できるだけ早く運用を始め時間を味方につけることの2点だ。
その第一歩として、モーニングスターが公開しているツールである「金融電卓」を用いることをおすすめしたい。複利で運用した場合のシミュレーションを簡単に行うことが可能だ。「運用−利回り」を選択して、運用開始時に投資する資金の額、毎月の積立額、運用期間、目標とする資産額を入力するだけで、必要な利回りを算出することができる。
例えば毎月3万円を積み立てて、30年で2000万円まで資産を増やすには、どのくらいの利回りが必要だろうか?金融電卓で計算すると、3.8%の利回りが必要となることが分かる。例えば、運用期間35年の場合、必要な利回りは2.5%で済むが、25年の場合は5.8%となる。つまり、早く運用を始めて、より長期で運用すればするほど、目標の資産額を達成するために必要な利回りのハードルは低くなる。
ちなみに投資信託で運用した場合、長期で期待される利回りはどのくらいか?参考として4月末時点の国内投信の平均リターンを見ると過去10年(年率)で4.14%と、金融電卓で30年のシミュレーションで導いた利回りの3.8%に近い数字となった。なお、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の過去18年間の年平均利回りは2.7%となっている。したがって、長期で見た場合に3%前後の目標利回りがやはり現実的な数値と言えそうだ。
さらに高い利回りを求めるとその分、リターンのブレであるリスクも高くなり、目標「未達」となる可能性も高まる。特に大きく目減りすることを避けるべき老後資金を準備する上では、楽観的に高い目標利回りを設定して運用するのはおすすめできない。3%前後の利回りを目安として、目標利回りがこれを大きく上回るようであれば「積立額」を増やすか「運用期間」を延ばすことを検討しよう。例えば同じように25年間で2000万円達成を想定し、積立額を3万円から4万円に増やすと、5.8%必要であった利回りが3.8%で済むことになる。
なお、金融電卓は必要な利回りの計算以外にも様々なシミュレーションがあり、例えば、手元の資金を毎月一定の金額で運用しながら取り崩した場合、どの位の期間もつかを計算することも可能。人生100年時代と言われる中、老後資金の準備だけでなく、退職後も目標を定めた運用が重要だ。
提供:モーニングスター社
複利は利息が利息を生み資産が雪だるま式に増えることだが、そもそも利回りの水準が低ければ当然ながら複利の効果も限定的になる。一方、投資信託などを活用して仮に3%で運用できれば72÷3=24年で2倍を達成できる。超低金利時代に運用が求められる理由だ。投資を行う上で念頭に置いておきたいことがある。(1)目標資産額を達成するためにどのくらいの利回りが必要かを明確にすること(2)できるだけ早く運用を始め時間を味方につけることの2点だ。
その第一歩として、モーニングスターが公開しているツールである「金融電卓」を用いることをおすすめしたい。複利で運用した場合のシミュレーションを簡単に行うことが可能だ。「運用−利回り」を選択して、運用開始時に投資する資金の額、毎月の積立額、運用期間、目標とする資産額を入力するだけで、必要な利回りを算出することができる。
例えば毎月3万円を積み立てて、30年で2000万円まで資産を増やすには、どのくらいの利回りが必要だろうか?金融電卓で計算すると、3.8%の利回りが必要となることが分かる。例えば、運用期間35年の場合、必要な利回りは2.5%で済むが、25年の場合は5.8%となる。つまり、早く運用を始めて、より長期で運用すればするほど、目標の資産額を達成するために必要な利回りのハードルは低くなる。
ちなみに投資信託で運用した場合、長期で期待される利回りはどのくらいか?参考として4月末時点の国内投信の平均リターンを見ると過去10年(年率)で4.14%と、金融電卓で30年のシミュレーションで導いた利回りの3.8%に近い数字となった。なお、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の過去18年間の年平均利回りは2.7%となっている。したがって、長期で見た場合に3%前後の目標利回りがやはり現実的な数値と言えそうだ。
さらに高い利回りを求めるとその分、リターンのブレであるリスクも高くなり、目標「未達」となる可能性も高まる。特に大きく目減りすることを避けるべき老後資金を準備する上では、楽観的に高い目標利回りを設定して運用するのはおすすめできない。3%前後の利回りを目安として、目標利回りがこれを大きく上回るようであれば「積立額」を増やすか「運用期間」を延ばすことを検討しよう。例えば同じように25年間で2000万円達成を想定し、積立額を3万円から4万円に増やすと、5.8%必要であった利回りが3.8%で済むことになる。
なお、金融電卓は必要な利回りの計算以外にも様々なシミュレーションがあり、例えば、手元の資金を毎月一定の金額で運用しながら取り崩した場合、どの位の期間もつかを計算することも可能。人生100年時代と言われる中、老後資金の準備だけでなく、退職後も目標を定めた運用が重要だ。
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